第36話 達也に一体何が起こっているのか?
2016年8月✕日
森林を賑わせていた蟬の声が衰えて、夏が終りを告げようとしている今日この頃。
「お前らよくも俺を騙したな————!」
「ヤッ止めて下さい!」
””ガシャン!バッキ———ン!ドッドドドドドドドドドド————!””
▲▽▲▽▲
2016年晩秋。
野山の錦***紅葉が赤や黄色に野山を色とりどりに染めて、何色もの色を使って美し紋様に仕上げ、それはまるで絹織物のような美しい情景。
そんな美しい紅葉の季節に、あの秘密基地の様な高い塀に囲まれた別荘に、達也の姿がある。そして…そこにはなんと陽介の姿もある。それも……何かしら……笑顔を交えながら話し合っているではないか……?
という事は……達也と陽介の雪解けも、そう遠くないのかも知れない。
◆▽◆
「達也兄ちゃん公園で遊びたい」
「陽介は本当に甘えん坊で……困った奴だな~!チョット宿題が終わったら連れて行ってやるよ。待っていなワッハッハー」
「うん!僕待ってる」
そして…お正月ともなれば陽介をおぶって、よく近くにあるおじいちゃんの家にお年玉貰いに駆け込んだものだ。
それは……都内という事も有り幼少期の陽介は、雪に慣れていないせいか、よく滑って転んでいたからだ。だから…陽介はいつも擦り傷だらけ。
「おにいたん・・・ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭痛~いよ~ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」
「大丈夫だよ!ほ~ら絆創膏……ハイ❕ペタン。フフフ」
この様な調子で、可愛い弟ではあるが、ヤンチャな陽介に手をこまねいていた達也だった。その為、大雪や、土砂降り雨の時などは、おぶってお爺ちゃんの家に、よく駆け込んだものだ。
あんなにいつも一緒だったのに……いつ頃から……歯車が狂い始めたのか……。
それでも…今日の様子は、今までとは全く違う。元々はあんなに仲の良かった兄弟だ。雪解けが訪れると信じていたが、存外早く訪れたものだ。
だが?看護師の一人がとんでもない言葉を発した。
「外見は達也院長ですが、雰囲気といい、しゃべり方といい、まるで別人。それから何か?出来るだけ我々を避けている様子なのです。あんなに話好きだった院長が?」
いや~?それはそうだろう。双極性障害は感情の起伏が激しいので……躁状態の時はハイになり喋り捲るが、うつ状態では一気に覇気が無くなり一日中寝ている事も往々にして有る。
◆▽◆
ある日の事だ。
「こんな躁うつ病の手の付けられない男、生かしておいて何になる!只々みんなに迷惑をかけるだけ!いっその事…………?」
誰がこんな惨い事を言っているのか?まぁ……あんな達也なので「死んでくれたらどんなに良いか!」と思っている人間も数多く存在しているのは事実だが……。
それでも…樹里亜は、何だかんだと言ってパパの事が大好きだ。樹里亜は行方不明だった父達也と?3ヶ月ぶりにやっと再会することが出来た。
「ああ!今パパ病気で治療中だからガラス越しに見ましょうね?」
母からは父が「躁うつ病の治療中だから!入っちゃダメ!」と言われているので傍に寄れない。
(今までは病気が有っても顔を合わせていたのに可笑しい?)
樹と樹里亜はコッソリと達也の動向を追跡している。
するととんでもない事実が……?
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