第24話 貴理子の怒り!
1996年11月下旬
日比谷公園の紅葉。
ビジネス街のオアシス雲形池の水面に映る、色づいたイチョウやモミジの美しい情景と言ったら、この上ない美しさ。秋から冬にかけての、イチョウ、モミジの紅葉黄葉が見事に色づいている。
優秀な貴理子は山城産婦人科・内科・小児科の副院長を兼務している。元来仕事好きな貴理子は家政婦に任せて、仕事復帰を果たしていた。
また…陽介を一日中監視できるので……。
それでも理事長兼院長の陽介も激務な毎日、休息も必要だ。
今日も3歳の一粒種の坊や遥斗とお留守番。そこに、この日を待ち兼ねたように弥生がいそいそとやって来た。遥斗を眠らせてやっと2人の時間がやって来た。
意気盛んな男盛りの陽介と女ざかりの弥生はこの秘密の、いつ壊れるとも知れない危険な関係に身を投じ溺れ切っている。
どれくらい愛し合ったのか?坊やが起きて来た。
******
その夜、陽介家では今にも割れんばかりの夫婦喧嘩が勃発している。
遡る事2時間前、陽介がタバコを買いに出かけた。貴理子は遥斗を寝かせ付けようと風呂に入れていた。その時に遥斗の洋服のポケットから💄口紅が””コロン””と落ちた。
「あら~ハル君この口紅どうしたの~?」
「おばたんが持ってた~!」
そしてお風呂に浸かりながら「弥生おばちゃん家に来てた~?」
「うん!パパと一緒にネンネちてた~!」
2人が愛欲に溺れている間に目を覚ました遥斗君は、そばにあった弥生の可愛いイチゴのポシェットに目が行き、その中の可愛い形の赤色の口紅を抜き取ってしまっていた。
貴理子の顔色がみるみる変わって行く。
陽介がタバコを買って帰ると、貴理子が仁王立ちになり待ち構えていた。
「あなたこの口紅は何?私に隠れてまだ弥生さんと関係が続いていたの~?何故?遥斗までいるのに……どうして~?ウウウウッ(´;ω;`)ウゥゥワァワァ~~ン😭」
「許してくれ!もうどうしようもない。別れてくれ。お願いだ!」
「何故?私の気持ちが分からないの~?もう子供だっているんだから現実を見てちょうだい!あなたさえ会わないと拒否すれば、弥生さんだって会いに来れないんだから、お願い!ワァ~~~ン😭」
「別れてくれ。頼む!」
「死んでヤル~!」そして包丁で手首を切った。
「ナッ何をするんだ!」
大変な状況だったが、処置が早かったので事なきを得た貴理子だったが、心の傷は想像以上のものがあった。もちろん陽介も心配しきりだが、担当医の7歳年下の29歳の医師木村が甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
実はこの木村医師、人の命を預かる重要な仕事の重圧に苦しんでいたのだが、副院長貴理子の「ドンマイ!ドンマイ!」といつも勇気付けてくれる、太っ腹の大きさにいつも救われていた。
そんな時に、貴理子が手首を誤って切ったと聞き付け(理事長陽介と兄産婦人科院長の妻弥生さんの関係は噂に聞いているが、これは…きっと何かあるに違いない?こんな時こそ何とか力になりたい!)
そんな時に、陽介と貴理子の夫婦関係がこじれての事だという噂話が、漏れ聞こえて来た。いつも浮かない顔の副院長貴理子の事は気掛かりだが、口出しできる問題ではない。
それでも…あれだけ太っ腹の副院長貴理子の暗く沈んだ落胆ぶりに、心配になり話し掛けて見た。
「副院長……いつも、ため息ばかりで……何があるのですか……?」
「ウッフッフッフ~!何も無いわよ!おかしな坊やね?」
「何をふざけているのですか……あの明るかった貴理子さんはどこに行ったのですか?」
貴理子も相当追い詰められている。遥斗まで授かって置きながら「別れてくれ。頼む!」とまで言われて生きた心地がしないのだ。
一方の7歳年下の医師木村は、貴理子に尊敬以上の好意が、微かに湧き上がっている。だから…放っておけない。
◆▽◆
若い坊やと思いながら頼りになる木村に、いつの間にか、愚痴を話すようになっていた貴理子。家の恥は絶対口外しないつもりだったが、徐々に木村の温和な人柄に話し出すようになって行ったのだった。そして…貴理子も木村に話す事によって、徐々に救われていった。
(どうせ私の事なんか、心の片隅にも無い夫の元に帰ってもむなしいだけ……)こうして…徐々に距離が縮まった2人は、陽介の休みの日などは子供遥斗を陽介に任せて、仕事終わりに一緒に飲みに行く程にまでなっていた。
実はこの木村、医師としての将来に明るい展望などある筈がない。三流大学医学部を卒業した身、精々民間病院での飼い殺しで終わるのが関の山。
そこで考えたのが、この男にうぶな決して美人ではない貴理子を上手く手なずけて、(あわよくば副院長の座を)と目論んでいる。
医師としての力量はさておき、ルックスはかなりのもの。
(あんな冴えないおばさんを落とす事など朝飯前)そして等々過ちを犯してしまった2人。
2人でお酒を飲みながら何時ものように夫の愚痴を肴に、酔いつぶれた貴理子にキスをアッ失礼?この日は木村はお酒を一滴も飲まなかった。夜遅くまで飲む時は木村はアッシ-君。
電車が無いので……。
そして有ろう事か、愛車レクサスの中でカーセックスを。欲望の権化と化した木村は貴理子のグラマラスな身体にむしゃぼり付いている。
荒々しくワンピースの中に強引に手を忍ばせ、剝ぎ取り荒い息使いで「あんな男など忘れなさい。僕が理事長の事を忘れさせてあげます。いいだろう!」
まだ若い木村は欲に任せて貴理子の唇を身体を貪り尽くした。
「*⋆・♥。*あああ~*⋆・。💋*⋆・。」
そして……新たな愛の形が形成された。
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