第22話 続いて

娘にはまだ子供がいなかった。

ある日の夜ピンポーン、チャイムが鳴る。

出ると娘夫婦だった。

「あらこんな時間に珍しい。どうぞ」

「お父さんまだ仕事から帰ってないん?

もう帰ったらと思ったのにな」

そう言いながら娘が部屋へ入ってくる。

「もう帰るかな?」

そう言いながら電話を鳴らした。

「もう少しかな?あと30分ぐらい。」

「じゃぁ待ってる」

なんかあったのか?

でも娘夫婦は仲良よく話しをしている。

「ご飯は?」

「食べて来た」

娘と私は仲良し親子だ。

話しをしていたら30分なんてすぐだ。

ダンナの帰宅。

「報告があって来たんよ」

写真を取り出す。

エコー写真だった。

「え〜っっっほんとに?

おめでとう。」

娘のお腹をさすった。

その流れを見てダンナも気づいたのだろう。

「おめでとう」

満面の笑顔だった。

「じぃじ待ってるよ」

娘のお腹を見ながら話しかけていた。

予定日は6月。

嬉しい報告の日だった。


はなちゃんへ

この日、ダンナと会ってたよね。

慌てて帰ったでしょ。

娘は父親の喜ぶ顔が見たくて

待っていたんだよ。

家族の時間を奪うのはやめて。

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