第16話 絶景


「今年も4月に旅行へ行く?」

旅行へ行けばまた仲良くなれる

昨年の記憶が期待させる。

「どこへ行く?

4月は忙しいから休み取れないかもよ」


あんまり行きたそうにないな

そんな印象だった。

「GWなら休みだから大丈夫?」

意地でも旅行に行ってやる。


鳥取県の温泉旅館に泊まった。

セックスはしたが何か違っていた。

温泉を楽しんでくると言って大浴場へ行く。

タバコを吸うと言っては

私から離れる事が多かった。

私はネガティブな感情しかなかった。


私は亡くなった義父に祈った。

「私は嫁のままでいいのでしょうか?

もし、まだ嫁で良いと認めてもらえるのなら

明日、晴れにしてください。」

天気予報は雨だった。

1人で今日撮った写真を見る。

ダンナは笑っていない。

去年の写真とは大違いだった。

絶望感でいっぱいだった。

こころなしか少し離れて寝た気がする。


次の日 ダンナが

「うわぁ〜ママ見て」

カーテンを開ける。

窓の外には

雪を被った雄大な大山が

くっきりと見えていた。

晴れたのだ。

嬉しかった。


義父ありがとう。


この絶景は忘れない。


はなちゃんへ

ダンナと写真を撮った?

二人は笑顔かな?

でもね、覚えておいて

二人の思い出は

不倫の証拠でしかない事を。




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