第7話
秘密のねぇやつなんていねぇ
みんなてめぇの事しか頭にねぇんだ
取って取られて
あっちがやられたらこっちについて
結局世の中なんて搾取するか搾取されるかだ
評議会の政治屋なんて人の命なんて何とも思ってない、むしろバランスを気にする
こっちが死んだからあっちの誰かを
なんでバランスなんか取るんだ?てめぇで天下取っちまえば全て解決じゃねぇか
俺は全部欲しい、利用されることすら気が付かない間抜けを使ってせいぜい楽しませてもらうさ
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いつも任務の詳細は聞かされない
俺たちはコマなんだ、上のやつらの為の
コマに感情は要らない
てめぇの身体張ってる仕事になんの疑問もねぇのか?
気持ちの悪い連中だぜ
この度の俺の役目は西に潜入するスパイがヘマをして公安に取っ捕まりボロが出るまえに奪還し西に送り込む手助けをするのがメインだった
ここでもバランスか…経済力では西政府には負けてないが政治不満は幕府の方が多い、いつかその矛先が幕府にむく前に西政府へ愚民共の関心を高めさせるためか…そもそもスパイのくせに捕まりやがって…調査室の面汚しが、俺なら捕まるようなヘマしない
公安か…厄介だな…警察なんて大した事ないが公安の連中は手練が多い
護送されるタイミングがラストチャンス
幸い長官から金は貰ってる、例の裏金だ燃やしてもいいくらい溜め込んでるから必要経費でふんだくってやったわ
3流の半グレ崩れを雇って数で囮になってもらいその隙に車ごと奪い返すか
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「こんな大金いいのかよ?」
「好きに使ってください、もうすぐいい事が起こるよ?その準備にでもつかってくれ」
「うひょー大金だぜ!」
「やりましたね!兄貴!」
「女も酒もやり放題だ!」
馬鹿どもが…そんなんだからてめぇらは使われる側なんだよ
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「こちらは検察局前です!今諜報員と思わしき人物が車から降りてきました!おや?こちらに向かって何か言っていますね!カメラさんアップして!」
「俺を逃がしてくれた奴には3億円支払う、だからさっさとここから俺を逃がせ」
「おい!喋らせるな!カメラ!離れろ!」
「三億円だ!なんならもっと払ってやる!」
映像が切り替わった
これであの間抜け共が囮になってくれる
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「やぁ、皆さん三億円狙ってくださいね」
「あんたこれを知ってたのか?何もんだ?」
「気味が悪いな、こいつ…でも…」
「俺が誰かなんて重要かい?検察局からの輸送ルートの地図まで用意している、武器もこの前渡した金で買い揃えたろ?あとは三億円だけだ」
「そうだ!この地図さえありゃこの人数でいけるだろ!逃がして3億円いや!もっとふんだくってやろうぜ!」
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隙間橋から勝原交差点へ車列が差し掛かったとき車列へ一斉に銃弾が撃ち込まれた
馬鹿が!仕掛けが早すぎる!これだから3流のゴミは!くそ!どこから行く…ええぃサイは振られた恐らく別ルートの車が本命だ…
地下道があるな…出口は…ここだ!
急げはいける!
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ビンゴ!間に合った!
「止まれ!止まれ!」
護送用の車が止まった
「何事です?」
「この先でも襲撃です!引き返して別ルートから行きましょう!案内します!」
「何?本部からそんな通達きて…」
ピュン、ピュン、ピュン、ピュン
サプレッサー着きハンドガンで制圧、いまさっきまで「警官だった」物をどかし運転席に座る
「あんたが俺を西まで送ってくれるのか?しかし本当に三億円の暗号が使えるとは…正直眉唾もんだったよ」
「捕まるヘマするような奴がまた行けるとはな…今すぐに国境までいく」
「待ってくれ…ここでやり残した事がある1時間だけ時間をくれ」
こんな時何言ってるんだ?この間抜けは
「バカ言うな、何する気だ」
「どうしても復讐してぇ奴がいるんだ、頼む!」
この期に及んで自分の願望か…フン
「車がいるだろう…俺もついて行く」
「わかった!住所を言うから連れてってくれ!」
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聞けば自分を捕まえた公安がムカつくだって?くだらない、そんな感情捨ててしまえ、俗っぽい感情なんていらねぇのにな
ん?煙?放火までしたのか
出てきたぞ
返り血浴びるような殺し方してんじゃねぇよ
「ハァハァ…出してくれ」
エンジンをかけて発進させた
「気が済んだのか?」
「あのクソ公安め!アイツには相棒を殺られたんだ、それなのにお前を信じるだと、誰を殺ったかもわかってねぇのに聖人ぶりやがって」
てめぇの相棒がやられたのはてめぇが無能だからだ、無能だから捕まるようなミスもする
馬鹿はどこまでいっても馬鹿のまんまなんだな
サッサと送り届けて酒でものもう
それまではタバコで我慢するか
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今度の任務は…ん?公安の始末?
あー例の奴を捕まえたって公安か…
こいつどこかで見たな
「室長、公安の始末どこまでやります?透明にしますか?」
ファイルをめくりながら全人物を頭に入れた
「あーそのグループはどうやら長官が目障りらしい、家族も殺されやる気が失せると思いきや俄然やる気らしくてね…ある計画が進んでいるのにここで公安に出張られると非常にめんどくさい、やり方は君に任せるよ」
「了解です、すぐに取りかかります」
こんな尻拭い的な仕事はもううんざりだ、これを機に俺もヤメ時かな
内輪もめなんぞしてる場合じゃねぇだろうよ?
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巻いた餌に食いついた
ノコノコと出張ってきやがって…ここなら仕掛けが見える
情報はとかくガセがつくぞ…?
あいつか…あの背の高い奴が邪魔なのか…
いかにも「俺は国の為に」とか言いそうな奴だ
どれ無線をで聞いてみるか
「ザーザーザー……長、これ以上は待てません!踏み込むべきです!」
「馬鹿言うな爆弾があるのは絶対だ!!処理班がくるまでまて!」
「この先に仇がいるんでしょう!!わっぱは隊長がかけてくださいね!」
「馬鹿!そんな事今はいい!とにかく慎重に…」
「俺行きますよ!」
「間抜け野郎!やめろ!」
ドォォォォォン
ブビ!ザーーー
若くて無鉄砲ってのは罪だなぁ
しかしあの公安爆弾があるの勘づいてたな
なかなかのセンスだ
惜しいな
さて
俺も…
ん?1人…2人…3人
フン俺も用済みって事か
甘く見られたもんだ
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綺麗なスーツに身を包んだ調査室の奴ら「だった」3人が転がっていた
「てめぇらとはくぐった修羅場が違ぇんだよ、新人3人にやられるほど落ちぶれちゃいねぇ」
でもこれで丁度いいな…俺はここで死んだった事にしよう
もう政治屋のケツ拭いもうんざりだ…
ーーーーーーーーーー
ーー半年後ーー
こんなこ汚ぇ飲み屋にいるのかね
やけに重たいドアだな、建付けが悪いのか古いのか
ギィィィ
「いらっしゃい」
「邪魔するぜ、なぁここにこいつがいるって聞いたんだが…」
1枚の写真を見せた
こ汚ぇ店のこ汚ぇオヤジがグラスを磨きながらこう言った
「酒場で酒も頼まねぇ奴に教える義理はねぇよ」
それもそうだ
「響の18年ロックで」
「はいよ」
トン「お待ち」
いいグラスだ、氷も綺麗な球体、どれ…美味いな
「あんたが探してる男はそこにいるよ」
「よう、1杯付き合えよ」
「何の用だ、見たところ観光客じゃねぇな…帰れ、俺に関わるな」
「そう言わず1杯飲めよ、オヤジ、こいつの好きなの出してやってくれ」
「はいよ」
「ほら飲めよ?奢りだ」
「奢られる理由もねぇらやつから酒なんかいらねぇよ」
「まぁひと口くれや、ボウモアかいい酒だ」
グラスを強引に取られた
「見た顔だな…どこかで会ったか?で?俺に何の用だ」
「かもな、単刀直入に言う、老い先短い政治屋や評議会を連中をあっと言わせる組織を作る、その手伝いをしろ」
「こんな酔っ払い相手に何言ってんだ、帰れ帰れ」
「もと公安エースが随分弱気なんだな」
グラスの酒を飲み干した
「親父、次はこいつのと同じのくれ」
「ハッキリ言う、俺はもう幕府がどうとか関係ねぇ、こんな世界ぶっ壊れちまえ」
長身の男もグラスの酒を飲み干した
「今のお前を見たら家族はなんて言うかなぁ?」
「俺に家族なんていねぇ!ぶっ殺すぞ」
「いいぞ、やれよ、ならゲームで決着つけるか」
「ふざけんなよ!」
男がシルバーのリボルバーを出し弾を5発抜いてシリンダーを回転させた
「ロシアンルーレットだ、どうでもいいんだろ?俺の誘いを断ったんだ、俺の時間を無駄にしたペナルティだ、てめぇの安っぽい命はてめぇで弾いて終わらせろ、俺が勝ったら新しい組織を手伝え」
「俺が勝ったら?」
「そんときはは俺が死ぬだけだ、飲むなり腐るなり自殺でも好きにすればいいさ、ただどうでもいいみたいな素振りをするならそんな命今すぐ捨ててしまえ、死んだら家族にも会えるぞ?」
いちいち薄ら笑いをする男
長身の男がリボルバーを手にし、こめかみに銃口を当てた
カチン!カチン!
「あんたの番だ」
「おもしれぇなお前」
カチン!
「お前の番だ」
カチン!
「確率2分の1だ、偉そうに講釈たれて、できんのか?」
カチン!
「お前の番だ」
ニヤニヤしながら拳銃を渡した
長身の男が銃口を咥えた
「ダメだ!俺の負けだよ…」
銃を相手に投げた
「お前の負けだ、約束通り手伝って貰うぞ」
「俺なんか役に立つのか?」
「命も張れねぇ奴とは仕事はできねぇよ」
酒場の親父がグラスに酒を注いだ
「組織を作るって金なんかねぇぞ?」
「金なんてどうとでもなるさ、水戸天狗党の隠し財産をごっそり頂く、人選はお前が決めりゃいい」
「一つだけ聞きたい、何故俺なんだ?俺の経歴を調べはしたんだろう?」
「俺はな?信念を持ってる奴、自分で思考できる奴が好きなんだ、信念を持たねぇ思考もしねぇ人から与えられた事しかやれねぇ奴ははゴミ以下だ、てめぇは家族を殺されても仕事に忠実だった、信念のねぇ奴は感情に流され仕事を投げ出すんだ、これからの仕事は沢山人の死を見る事になるだろう、信念のねぇ奴はそこでいちいち罪悪感に苛まされるんだ。それにお前は今思考して腐った自分と決別したんだろう?だから引き金を引かなかったんだ」
「買いかぶり過ぎだ…いつでも死ねると思ってたが、あんたの言うとおり…どうでもいいフリして逃げてたんだ…俺は」
「違うな、信念があるから命を無駄にしねぇんだよ、お前は自分で自分を過小評価し過ぎだ」
「…名前変えてもいいか?」
「あぁ、スポンサーはいるが干渉されたくない、人選や作戦に政治屋の意志を入れないためにこの独立部隊は入隊したら一切の経歴を抹消して新たなコードネームを使うんだ、超法規的部隊だからな、そうだな…今日からお前は近藤、近藤勇だ」
「近藤?思いつきか?」
「意外と教養がねぇな、検索かけて調べてみろ」
「そういやあのリボルバー弾全部抜いてたんだろ?」
バァン!
「言ったろ?1発入ってるって」
「俺が最後引いたらどうしたんだよ」
男は一気に酒を飲み干した
「そんときゃお前が死んでたな、今は命を張っても賭けるときじゃねぇ、そんな状況判断すらできねぇ奴ははじめっからいらねぇよ」
「アハハハハ、負けたよ、あんたには」
「さて腐るのは終わりだ、近藤さんよ」
「あんたはなんて呼べばいい?名前は?」
「俺か?俺は芹沢だ、芹沢鴨だ」
「よろしくな芹沢さん」
「おう、世間を俺たちで驚かせてやろうぜ」
芹沢が右手拳を向けてきた
「ん?なんだそれ?」
「空のグラスじゃ乾杯できねぇだろ?だから拳を俺は合わせんだ」
「意外とロマンチックなんだな」
「うるせぇうるせぇ、ぶっ殺すぞ!」
笑いながら2人は拳を合わせた
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