第3話
「はぁはぁはぁ…くそ!こんな事聞いてねぇぞ!なんで奴らが出番るだ!」
「お前ちゃんと指示通りやったのか!」
「伝えたよ!なのに…」
御用改めをされる側からしたらとんでもない事態だ、なんせ超法規的部隊だから基本刃向かっても無駄死にしかない、なら逃げるしかない
そんな逃げ回る2人に
「よぅ!遅かったじゃねぇか?」
「なんだよあんたか?ビビらせんなよ」
「そうだぜ…心臓に悪い」
息を切らせながら2人は安堵を浮かべた
「ほら?手引きや情報を渡したんだ!金とパスポートくれよ!」
「なんの事だ?」
「とぼけんじゃねぇ!てめぇが情報渡したら…
」
言い切る前に恰幅のいい男が銃を構え1人を撃った
バァン!
「まて!話しが…」
「死ねばもう追われねぇだろ?」
バァン!
「誰がてめぇらなんか助けるかよマヌケもここまでくると芸術だな」
ーーーーーーーー
「土方さんこっちやで」
物陰から隠れていた山崎が土方、永倉を手招きした
「山崎さん、無事で何より内偵助かりましたよ、で例の2人は?」
銃を構えながらあたりを警戒する土方と永倉
「こっちしか逃げられないと伝えてあったしさっき通って行ったで」
「じゃあ袋のネズミって事だな」
永倉はネズミを狩るという言葉好きなようだ。
「じゃあ早く済ませて戻りましょう、山崎さん」
「せやな」
懐に忍ばせたハンドガンを構え土方、永倉、山崎がさらに奥へと行く
「よぅ!」
威勢のいい声の主芹沢だった
「芹沢さん?あんた1人か?」
「あぁ近藤達とはぐれたからな、合流できなかったわ」
「まさかあんた殺してないだろうな?」
「いやー悪いね、1人じゃどうにもならなくてねぇ」
悪びれもなくニヤニヤと銃で死体を指した
「てめぇ何してんだ!こいつら俺が泳がせてたんだぞ!」
土方が芹沢の胸元をつかみかかった
「なんだァ?てめぇらがもたもたしてるから俺が1人で相手する事になったんだ、てめぇらの無能さをこっちに押し付けんなよ」
武器をしまった永倉がヘッドセットを外し
「お前が1番無能じゃないか!」
「んだァ?木偶の坊が言うじゃねぇか」
土方の手を払いタバコに火をつける芹沢
「無能と言うなら貴方も立派な無能だな、てめぇがガシマンして失敗してりゃ世話ネンだわ」
土方が芹沢のタバコを取り上げる
「何すんだゴルァ!」
今度は芹沢が土方に掴みかかる
間に割って入る山崎
「喧嘩やめや!とりあえず近藤はんに報告や!」
後から沖田、齋藤、近藤が合流
「どうなってんだ!誰か報告してくれ、発見したのは…」
頭をかきながら近藤言う
「土方はん、永倉はんと俺が来た時に芹沢はんが「これ」といたんや」
山崎は疲れているようだ
「無駄かもしれないけど生存確認…」
「いやーどう見ても死んでますわ、ようけこんなに綺麗ぶち抜いたなぁ、芹沢はんの消炎反応でも調べますかぁ?」
「やぶ医者はだまってろ!クソが!」
「お前が1番疑わしいんだよ!」
相変わらず土方、永倉と芹沢が揉めている
「ちょっとーこれ死んでんの?面倒くさ!苦労が水の泡じゃん!先帰ろ…はぁめんどくさい」
齋藤が死体をつつきながら山崎の裾掴む
「齋藤はん、無理やで、生きてればなんとかできたけどさすがにね」
齋藤が死体に手を合わせた
「近藤!だいたいてめぇの責任だろうよ?」
「はぁ?なんでそうなんだよ?アタマイカれてんのか?」
呆れた顔で土方が芹沢に食ってかかる
「てめぇの作戦立案、組ませ方、こいつらの教育がなってねぇから俺にこんな口きくようになってんだろ?」
齋藤が刀に手をかけながら間に割って入った
「なんだァ?近藤の操り人形が!近藤さんの許しもないのに刀抜けんのか?この飼い犬風情が?」
齋藤怒りながら抜刀
芹沢もリボルバーを抜いて齋藤に向ける
「動くな!」
言うと同時に土方と永倉がライフルを芹沢に向けた
「お前らいい加減にしろ!味方同士で銃なんかむけんじゃねぇ!」
齋藤は怒りで震えながら刀を向けていた
「齋藤!しまえ!」
近藤に命令に不貞腐れながら刀を納めた
「歳さんと永倉も!しまえ!鴨さんも銃下ろしてくれよ」
「いやいやいや、銃を向けられてるのにおろすバカはいねぇだろうよ」
「近藤さん!この際だからハッキリ言います!この男は危険です!いつも謎の単独行動、そして今回の件、こいつを野放しにできません!」
永倉も黙って静かに頷く
「じゃあこうしようか?近藤、てめぇが俺に頭下げろ、この度の責任はお前だからな」
「はぁ?誰に物言ってんだ!」
「なんでそうなるん?あんたおかしいで?」
「無能がバカ言うなよ」
「ガタガタうるせぇな雑魚が!文句があんなら俺と殺り合うか?3人まとめてころ…」
「分かった!謝るよ、それでいいだろう?鴨さん、悪かった」
近藤が深々と芹沢に頭を下げた
「近藤さん!なんで貴方が謝るんですか?」
「いいんだ、歳さん」
ニヤニヤしながら芹沢は銃をしまい
「てめぇは謝り方も知らねぇのか?詫びる時は地面舐めるように頭下げんだよ!」
齋藤は今にも芹沢に切りかかる気迫で睨みつけていた
土方、永倉が下ろしていた銃を構える瞬間に
「わかったこれでいいかい?済まなかった」
近藤が土下座した
土下座をした頭を芹沢が踏みつけ
「てめぇはあめぇんだよ…自己犠牲か?そんなもんなんの得にもならねぇのに…いつもそうだな…だからお前は何も守れねぇんだよ、はぁ興ざめだ、馬鹿らしい」
芹沢はその場を去った。
「俺も今日は先に帰るわ…こんなの見たくなかったよ」
永倉は腑に落ちない気持ちを押し殺して去って行った
起き上がる近藤に齋藤、山崎が手を差し伸べた
「ありがとう2人とも」
「近藤さん!あんな奴になんであそこまでするんです!」
土方が近藤に詰め寄った
「ああなったらあの人は意地でも謝んないよ、それに喧嘩の落とし所を作ってくれたんだ、俺の頭1つで喧嘩が済むならそれでいいんだ、帰ろう」
土方が何かを言いたそうに近藤を睨む
「近藤はんが絶対やで…」
山崎も何かを言いたそうだった
「なんだよトシさんまで…言いたい事あんなら言えよ」
「別に…貴方がそれで良ければ…」
「なんだよそれ!言いてぇ事あんならハッキリ言えよ!」
近藤も声を荒らげる
「ハッキリ言わせていただきます、理由はどうあれ俺たちは近藤さんが頭だと思ってる」
「はぁ?局長はあの人だから?俺は押し付けられてるだけ?それにここはあの人が作ったんだ!あの人に意見は絶対だろう!行き場のない俺たちに居場所を…」
土方が近藤に掴みかかる
「てめぇいい加減にしろよ?なにかってーと芹沢芹沢って俺らの頭はあんた!あんたなんだよ!少なくともみんなそう思ってる、いつまでも芹沢の名前ににげんなよ!あんたも自分の役割を受け入れろ!じゃないと一生惨めなまんまだぞ!あんたと芹沢に何があったかなんて俺は知らない、でも頼むから金輪際あいつにこういう事はやめてくれ、俺たち為に頭なんてあんたが下げるな」
土方が近藤の首元を離す
「言い過ぎました、すみません」
「いや、いいよ。トシさんあんたが謝る事じゃない、ちょっと1人にしてくれるか」
「分かりました…先に車で待ってます山崎、齋藤行くぞ」
齋藤は心配そうに近藤に近寄る
「大丈夫だ、ありがとうな、でもちょっと1人にしてくれるか?」
齋藤も何度も振り返りながら近藤を見つめその場を去っていった
「惨めなままか…痛いとこつくなぁ…俺が人の上に立てるか?覚悟さえ持てばみんなを俺が守れるのか…教えてくれよ…情けねぇ…アーーーーーーー!」
ーーーーーーーーーーー
「さぁて土方あたりが俺を狙ってくか…準備だけはしておこうかな」
「ブーブー」
「はいよ、なんだあんたか。もう隠せる状況でもねぇよ、遠くて見てねぇでたまにはてめぇも足使えよ」
「ふん、田舎モンが…偉そうに」
タバコに火をつけながら空を見上げ
「そろそろ芹沢って名前も飽きたな…さぁ?どうでる?近藤よ…」
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