第2話

「おかえり〜みんなお疲れさん」

「お疲れ〜」

屯所で出迎えたのは山崎烝、山南敬

山崎は観察(主に潜入)、治療担当

隊内で唯一の医者である

彼の治療室には一通りの薬や薬品があり重度の病や怪我ではなければ治療を行える、そして医学知識を用いて薬品をつかい尋問も行う


山南はデータ解析担当

戦術狼では珍しい女性隊員

パソコンやスマホの復元、ハッキング等の担当でいつも飴を欠かさず持っている

この混沌とした机でどう仕事するのか?モニターとかにシールやら付箋やら張り机には推しの写真やらフィギアが乱雑に置いてあるいわゆる趣味を仕事場に持ち込む典型的なオタク気質だ

齋藤の事を「イチちゃん」と呼びいつも気にかけている

山南が飴を舐めながら

「ほーい、押収したスマホ、パソコンは僕のデスクに置いといてね〜、イチちゃん!返り血が着いてるから早くシャワー浴びてきな!」

齋藤は気にしないと言いそうな顔でウンウンと頷いていた

「齋藤、山南さんの言う通りだ。身なりは気にしないとかダメだ。ちゃんと綺麗しておきなさい。あと山崎さん、1人とっ捕まえたからいつものようにお願いしますね」

「分かったよ隊長さん、尋問は誰がやる?俺1人でええの?」

「いや、俺も立ち会うよ」

「僕はパ〜ス」

武装を外した土方がドクターペッパー片手に

「近藤さんは朝まで少し休んでください、評議会への報告等もありますし。尋問は俺と山崎さんで明日やりますから」

齋藤が近藤の両肩をたたき少し微笑む

装備を外した永倉も黙って頷いている

「近藤さーーーん!俺お腹空いたから飯奢って!」

「総司、お前にもちゃんと仕事がある」

「チッ、めんどくさ」

「なんか言ったか総司?」

「なんでもありませーん、土方どの。私めは何をすればよろしいでしょうか?この奴隷にご命令を」

「これやるからとりあえず静かにする事からはじめろ!」

不満そうな沖田にドクターペッパーを渡す土方

近藤がホッとしたのかあくびをしながら自室に向かう

「土方さん、ありがとう、お言葉に甘えるよ」


自室の扉を閉め武装を置きデスクの引き出しを開けて中の写真を見ながら椅子に座った

「ただいま、今日も無事に帰れたよ。今の仕事もだいぶ慣れたわ…」

写真に話しかけながらサングラスを外し目をつぶった

「夢の中でくらいなら会わせてくれよ…頼むから」


武器の整備をする永倉

データ解析をしている山南

山南が作業しながら流している洋楽のBGMの音がある以外おおよそ兵隊の詰所とは程遠沈黙が続き黙々とパソコンで報告書を作る土方にあくびをしながらパソコンにむかっていた沖田が尋ねた

「ふぁ〜、土方さん、聞いていいっすか?」

3本目のドクターペッパーを空けてる土方が面倒くさそうに

「なんだ?休みはないぞ?」

「違いますよ、芹沢さんて局長なんですよね?なんであの人より近藤さんが評議会の役人と会ったりしてるんです?それに近藤さんいつもサングラスしてますがなんで外さないんですかね?」

「僕もふぉれひぃになんだよね〜、それに芹沢ふぁんていちゅもひぃとりで行動してるよね〜」

山南は飴を口に入れながら喋るからイマイチ聞き取れない

「元々この部隊は芹沢が作ったと近藤さんから聞いた、その時2人が何かしらの取り決めをしたんだろう。それ以外は知らん、お前らは芹沢をあまり信用するなよ」

「ごほっ!はぁ?なんすか?それ?」

むせた沖田に

「汚ねーな!ちゃんと拭けよ!」

「うるせぇオタク女!」

山南は何故か沖田に厳しい

「とにかく2人行動が基本なのを知ってて1人で行動している芹沢にはあまり近づくな、いいな?」

「ねー?サングラスの件は?」

山南に紅茶を入れている齋藤もウンウンと興味津々だ

「なんだ総司、お前の方が近藤さんとは長いんじゃないのか?」

「長いって言っても俺喧嘩売ってただけだし、なんか聞きづらくてね」

1呼吸置いた土方が場が悪そうに答えた

「もうお前達も長いからいいか…あの人は昔の事を喋りたがらないからな。この部隊に入るだいぶ前に前職の任務で爆発事故に巻き込まれて目を負傷したんだ、それを隠すためらしいぞ」

「へー、知らんかったなぁ。それとあと近藤さんが自室にいる時たまたま見たんだけど誰かの写真持ってるよね?あれ誰なんだろ〜?もしかして…にひひ」

「近藤さんもすみにおけないなぁ〜」

「人の昔話を詮索するなんて趣味が悪いぞ、いい加減しろ!」

「そんなに怒らないでくださいよ、土方さん知ってるんですか?」

「そういうしつこい所が気持ち悪いんだぞ、沖田ぁ、さて仕事仕事」

山南は新しい飴を口放り込んでモニターとにらめっこをしだした


「うるせぇ飴しゃぶってろ!ブス!」

バァン!

「総司!いい加減にしろ!」

「はぁ〜い、で土方さん?やっぱり知ってるんですか?あの写真」

「総司?そんなに気になるなら本人から聞け、それにそんな気になるくらい暇ならやってもらいたい仕事を増やすぞ?」


「はい!余計な事を考えず奴隷は仕事に邁進しまーす!」


ーーーーーーーーーーー


「1人で車を走らすのは最高に楽しいな」

芹沢は咥えタバコにハンドルを握り湾岸道路を走っていた

「しかしまぁ近藤は相変わらず甘ちゃんだな、素質はあるのに持ったいねぇ」


「ブーブー」

芹沢のスマホに着信が入る


「ハイハイもしもし、え?今日の事は不可抗力だわな、そもそも俺は伝えてあったぜ?わざと泳がせてたんて人聞きの悪いこと言うなよ?じゃあな」


「ふん、ビビり屋どもが!てめぇの心配なんかするなら初めっからすんなよ、もう3時か…さてちょっと急がないと間に合わねぇか…」


咥えタバコを消してアクセルに力を込めてスピードを出した

「土方あたりが怪しんでるな…ふん、尻尾を掴めるなら掴んでみろよ!」


ーーーーーーーーーーー


土産のケーキも買った、いつも家を空けて寂しい思いをさせている分休暇は家族と過ごそう、明日はドライブがてら海に行って水族館に行こう、あの子の事だイルカが好きだからぬいぐるみを買って欲しいのに遠慮するから先に買って…休暇が楽しみだ

帰ったらビックリするだろうな〜

やけに消防車が通るな…?近いな…

嫌な予感がした、頼む無事でいてくれ…

俺は無我夢中で走った、走って行けば行くほど人混みが増えた


俺は目の前の光景が信じられなかった…

燃え盛る炎、立ち込める煙


俺の!俺の…頼むから!俺が助けるから!通してくれ!誰か!…







ハッと目を覚ます、毛布がかかっていて近くで齋藤が寝ていた。時計を見たら朝の4時

「随分長く寝てしまったな、齋藤起きろ、寝るなら自室で寝な。ちゃんと休むのも仕事だぞ?」

目を擦りながら齋藤も起きちょっと心配そうに近藤を見つめるが自室に戻っていった


「いつもの夢か…そこじゃなくてもっと前を見せてくれよ…」


でも今の俺を見たらなんて言うかな?

早くまた会いたい、抱きしめたい…けどいつも待たせてごめんな、まだやる事があるんだ。平和になれば悲しい思いをする人は減る、未来の為に戦ってるから少しは褒めてくれるかな


そう言い聞かせながらまた眠りについた








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