第2話 王女様誘拐される

魔法使いの先生から変幻の術を習った数日後、王女様が誘拐された。もちろん付属品の立場であるボクも一緒だ。

逃げることもできたんだよ。ほんとだよ。だけど、ここで逃げたら執事見習いから一般市民以下になってしまう気がしたのと、王女様を守れるのはボクしかいないという責任感から一緒にさらわれたんだ。


で、お城の中をぐるぐる回って目が回って場所がわからなくなった頃に、側仕えが休憩するらしい部屋に閉じ込められたんだ。


なぜ、側仕えが休憩する部屋とわかったのかという疑問もあると思うけど、純粋にボクの感としかいえないんだ。王女様も目を回してたんだけどね、そこから復帰して言うには「あ。いつものクッキーの匂いがする」の一言だった。


執事としては、ここですかさずお茶を出さないといけないんだけど、さらわれている最中にお茶を出すなんてのはありなのかという疑問はおいておいて。


まずは、部屋を脱出だ。とりあえず使える手は変幻の術で誰かになりすましての脱出。ドアは、顔認識の魔石が埋め込まれていて僕たちの顔は認識されないんだ。


フト思いついたのが側仕え見習いのジーナ。彼女の背の高さは王女様と同じくらいなんだ。


でもね。その前に二人で逃げるためには、王女様を誰かにしないといけないしボクも誰かにならないといけないという問題が立ちはだかっていたんだ。


とりあえず、王女様に変幻の術をかけてボクにしたあと、ボクを側仕えの誰かにすることを考えたんだ。


早速王女様に変幻の術をかけようとしたら「いやだ」というんだ。ボクがスカートのままで歩き回っているのは「明らかにおかしいでしょ」という正論に撃墜された。


ホントのところは、お又にブラブラするものが現れるのが怖いんだとか。

これは、無事に戻ってきたあとで聞いた話だよ。


ボクなんて生まれてからずっとブラブラするものを持ってるので気にならないけど。ぶつけるのだけは、本能的に避けてる。


ともあれ変幻の術で側仕え見習いのジーナとジーナの妹に化けたんだ。

どうやったかって?

王女様に変幻の術を教えてボクをジーナに変えたんだ。それから、ボクがジーナの妹シーナに変えたんだ。

(ブラブラするものが無くなったような気がしたのは、ホントかどうか確認する暇はなかった)


とにかくシーナと手をつないで顔認識の魔石を覗き込むとドアの鍵が開いたんだ。そこから階段を登って降りて曲がって右に行って左に行くと厨房に出た。


厨房についたら、もう帰れたも同然なので走って王女様の部屋に戻ったんだ。


いうまでもなく変幻の術を解いてお茶の時間を楽しんだんだ。


笑える部分は、またこんどね。もう眠いから。


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