善の反対は悪ではなく、また別の善である。
昨日は肩を砕かれた。
その苦痛もあり、練習での技の精度は
キレというものが、明らかになくなっていたのだ。
だがそれがどうした。肩がないなら腰を使って振ればいい。
「おい、そこの一年坊。ちょっと来い」
翌日を迎えた
◇ ◇ ◇
次は足。
鍛え抜かれた脚力はボールを蹴るモノであったはずだが、今回は
初めの動作など見る影もなく、
その日は練習を早々に切り上げた。
だが問題ない、なぜなら足は二本ある。まだ十分戦える。
「お前か、
翌日を迎えた
◇ ◇ ◇
次は腹部。
ヘッドギアを
襲い来る、あばら骨の激痛。
自身のパフォーマンスに
その日の練習は、十分にも満たなかった。
だが問題ない、
「おい、あいつだぜ」
「ああ、やっと見つけた」
翌日を迎えた
◇ ◇ ◇
次は背中。
見上げるばかりの体躯は雑木林が如く、本来であれば同じ目線の者同士で争うはずだが、今回は
腕を動かすだけで痛い。
その日は早々に練習を切り上げた。
だが問題ない、まだ無事なところは残っている。
「よう、随分と長いクソだったな。待ってたぜ」
翌日を迎えた
◇ ◇ ◇
もう考えるのも馬鹿らしくなってきた。
鉄球を持ち上げ、彼方へと打ち上げるその大木のような上腕二頭筋、今回の
文化祭まで時間が無い。
その日は練習を休んだ。
無事なところなんてもうない。
「あれれ?君が
翌日を迎えた
◇ ◇ ◇
これらの行為に悪意は存在しない。
皆が正義であり、皆が誰かのために行動を起こしていた。
だから誰もこの行いを裁けないのだ。
悪なんて、この物語に初めから存在しない。
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※
次回「空は陰り、曇り空、甘い雨だれが降りる。」
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