最終 第Ⅲ章 あまねくすべては、あなたのために
そのまま無様に壊れてくれよ。
それは、
てっきり
「いやあ、
「運が良かった?」と
「何を言っているんですか?
学内祭の反応を見れば、それは明らかだ。あれのどこに運の要素があったのか。
理解の示せない
「これ見てみ?」
そこには光があった。
ふたつの光が巡るめくまわり、暗闇の中で泳いでいた。
「・・・これが何だって言うんですか?」
関係のない映像に、答えを伺う
「学内祭にね・・・いたんだよ、〝彼〟が」
結論から、その人物は完全にプロと遜色なかった。チャンネルの登録者も、既存のファンも、亜美よりも比べようがないほど大きかった。
だが、それがどうした。
「見掛け倒し、大したことないですね。・・・いいえ、ここで言うべきは
実際にあの場で勝ったのは俺の歌だ。
しかし、
「〝運が良かった〟・・・そう言ったよね?」
えらく機嫌のわからない声でそう言ったので、無意識に身構えてしまった
「データだけを見れば、格上だったことは確かだ」
つまり・・・。
数字は嘘をつかない。そう言いたのだろう。
「佐々木くんが勝てたのはテリトリーが違っただけ。もしも天秤がどちらかに傾いていれば、状況は違っていただろうね」
その言いように、
その発言は、彼の魂を否定する言葉だったのだ。
「
強言で言い放ってやろうかと口内に力を込めたが、
「それとも君が積み上げたのかな?」
背中に嫌な汗が伝った。その言葉は、
そんな半ば恐怖に陥った
「今度の対決は文化祭、つまり一般の客層も増える。今の人々は一体どちらを好むのかな?」
そんな目で俺を見るな、思わずそう言いそうになってしまった口をつぐんだ
「これで条件は揃ったわけだ。この場合・・・勝つのはどちらなんだろうねぇ~?」
「・・・・そんなの
デスクに戻る
だがそんな心労などに気付きもしない
「所詮、芸能など受けるか受けないかのどちらかなんだよ。わかりやすく言うと〝時代〟だ」
「おじさんもついていくのでやっとだよ」と困ったように告げているが、この事務所を見る限り、それは最先端だ。
「さて・・・その〝時代〟は、今はどっちに傾いているのか・・・。それはわたしの追い求めているところでもあり、非常に楽しみなところだ」
「・・・ずいぶんな言いようですね。それにずいぶんと肩入れをなさる。もしやお気に入りでしたか?」
だが、そんなことを気にした風もなく、
「なにを言う。僕はむしろ君たちに肩入れしてるんだよ。でなければこうして情報を与えないだろう?」
「・・・確かに、ご助力を感謝いたします」
「いいよ、僕は芸術の味方だからね。君たちの手腕を楽しみにしているよ」
なんだか腑に落ちない回答に、
そうして
そこからはうまいことに仕掛けが作動した。
学内祭の前に連絡を入れていた甲斐もあり、
信憑性の欠片もない噂話程度のものであったが、都合の良いことに、件の学内祭でそれが形となった。
あとは、このままうまくいけば・・・・・。
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※
次回「他人にとってはどうでもいいので簡単に壊せる。」
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