雲が晴れれば〝星〟が見える。
おもむろに体を起こした彼は、
別に何かしようと思っていない。
部屋の前で、ただ膝を抱えて座っただけだ。
何を考えるわけでもなく、熱を求めて。
少しでも、あの時への繋がりを感じたかったのだ。
(ああ、そういえば昔は同じ部屋にいたんだっけ・・・)
よく母親に部屋をわけた意味がないと怒られたものだ。
今ではその景色がすごく懐かしい。
もうなんのしがらみもないし、戻れないのかな?・・・・・戻れないか。
あの夏の日に引き上げてくれた手と笑顔は、もう望めないのかな?
戻れないとはわかっていたけれど、ならせめて———————。
ああ、あの夏の日々の
10月の冷気が、少しずつ体温を奪う。
最後のひとつが消える。
終わるなら、せめてここがいいな——————————。
こうして、近くであなたの下へと帰って・・・・。
そうして、ゆっくりと目を閉じた時だった。
暗闇の廊下で、部屋の中から声が聞こえてくるのだ。
しくしく、しくしく。
しんしん、と、しんしん、と。
重く、落ちる、嘆きの声。
大切な人が泣いている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・―――――――――――――———————————————————————————————————―――——————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————
————————————————————————
—————————————————
————————————
———————
————————————————————————やらなければ・・・・・・・。
『
歯を食いしばって立ち上がった
「僕は・・・・」
諦めるわけにはいかない。
こんなところでは終われない。
気持も伝えていない。言葉も尽くせていない。
こんな終わり方なんてクソくらえだ。
なにより・・・・・。
「
僕が目指した〝星〟は、
こんなところで諦めることを許してはくれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
※
次回「ここに宣言する。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます