第8話 初めての魔法少女のお友達!

「待っていたわ」


 フィスニール魔法学園の前に転移してくると、そこにはマリオンさんが待っていた。前回と同じく、学園長のところに案内してもらうために、待ち合わせをしていたのだ。

 って、あれ?マリオンさんの横に女の子?


「すっごい!今の何の魔法なの!?」


「えっ!わっ!」


 目をキラキラと輝かせた女の子は私に詰め寄ってきた。私と同じくらいの歳に見えるけど、圧が凄いよ。


「ねぇねぇ、名前はなんていうの!ママ、名前も教えてくれなかったんだよ!」


 ママってことは、あ、マリオンさんの娘さんかな?


「こらっ!サラちゃんが困っているでしょう!」


 マリオンさんが引き離す。

 助かった。この距離感の子は初めてだから、どう反応していいか困ったよ。


「ごめんなさいね、この子は私の娘で」


「シャロンだよ!よろしくね!」


 赤色が混じった茶髪の女の子は手をブンブン振っている。また私に詰め寄ってきそうだ。

 そっか、なんかマリオンさんとは全然違うタイプに見えるけど、すっごい元気そうな子だなぁ。

 ともかくこの子がマリオンさんの娘さんってことだね。


「私はサラだよ。よろしくね」


「サラ!覚えたよ!」


 返事がいいなぁ。覚えた発言をするのがちょっと不安ではあるけど。まぁ、悪い意味ではないでしょう。


「シャロンはサラちゃんと同じ歳になるんだけど、ちょっと元気過ぎて……」


 マリオンさんが困った様子でシャロンの頭を撫でる。撫でられたシャロンは嬉しそう。ちょっと子犬っぽいかなぁ。


「悪い子ではないから、仲良くしてあげてね」


「はい。こっちこそ仲良くしてくれると嬉しいです」


 何と言っても、初めての魔法使いの友達になるかもしれないしね。



「それじゃあ、サラ!また後でね!」


「うん。またね」


 どうやらシャロンは挨拶だけのためにマリオンさんについてきたらしく、一人で先に寮に行ってしまった。

 教師である私は別の寮に入ることになっているのが少し残念。まぁ、教師ともなると見られちゃ困るものもあるだろうからね。ん?それじゃあ、後でってのはどういうことだろう?もしかして私が寮に入らないこと知らないのかな?


「それじゃあ、学園長のところに行きましょうか」


「はい」


 今は学園長に挨拶だ。



 学園長室に挨拶をしに行くと、学園長さん以外にもう一人男の人がいた。


「ユベールです。よろしくね」


 若い男の人。ユベール先生は、天文学を教えているらしい。


「ユベールはワシが不在の時を任せる、副校長じゃ」


 へぇ、なかなかかっこいいし、優秀なんだね。女子人気とか過ごそう。

 それ以外には特別なことはなく、無事に学園長への挨拶は終わった。

 最後に学園長が言った、


「フィスニール魔法学園を楽しんで欲しい」


 という言葉がとても印象的だった。

 もちろん、そのためにわざわざ、入寮してまで学校に通いに来たんだよ。せっかく、憧れの学校に来たんだもん、楽しまなきゃ。



「ここがあなたの部屋よ。私の部屋は隣だから何かあったら来なさい」


 夕飯になったら呼びに来るということで、私は一人になった。

 部屋の中に入ってみる。


「おー、広い」


 映像で見たのは複数人部屋だったけど、私の部屋は一人部屋だった。教員寮だからかな?

 私の前世で住んでた部屋より広い。部屋の内装はヨーロッパ風という感じのおしゃれ部屋だ。


「とりあえず、荷物の整理……の前に」


 ベッドに向かってダイブ!

 豪華そうなベッド、入ったときから気になってたんだよね。


「おー、ふわふわだぁ!」


 思った通りの柔らかさに思わず、ゴロゴロしてしまう。非常に満足度が高いよ。

 ベッドに天蓋までついているのは流石にやり過ぎだと思うけど、ちょっと憧れはあったよね。女の子だし。

 布団に入って、枕に顔を埋めたところで、


「あ、荷物片付けなきゃ!」


 やることはやっておかなきゃね。


「しばらくお世話になります」


 誰もいない部屋に挨拶をして、片付けを始めた。


 持ってきた洋服や小物を配置したところで、


「サラちゃんいるかしら?」


「あ、はーい」


 マリオンさんが訪ねてきた。


「それじゃあ、食堂に案内するわね」


「お願いします」


 片付けをしていたらもう結構な時間になっていたみたいだ。

 マリオンさんと一緒に食堂に向かう。


「食堂って教員も使っていいんですか?」


「ええ、大丈夫よ。自分の部屋で作ってもいいけど、食材は自分で買ってね」


 なるほど、部屋に備え付けのキッチンがあったのは気になってたんだよね。まさか、そんな設備ついてると思わなかったから、今は器材も何もないけど今度試したい。


「まぁ、週末あたりにうちの娘と出かけたらどうかしら?あの子も新しい友だちに興味津々みたいだったし」


「あ、いいですね。お願いしてみます」


 教員寮を出たところで、


「遅いよ!」


 噂の娘さんが待っていた。うん?待ってたの?あ、マリオンさんが目当てか。


「サラ!一緒に夕食を食べよう!」


「えっ、ええ。一緒に行きましょう」


 シャロンはマリオンさんではなくて、私の手を取る。


「あら?シャロン、私はいいの?」


「あ!ママもいたんだ!もちろん一緒!」


 今気が付いたの!?そして待ってたの私のこと!?

 雑な扱いをされたマリオンさんだっけど、慣れている様子でシャロンのことを撫でている。

 やっぱり犬みたい。


「それじゃあ、行きましょうか」


「はい」


「うん」


 3人揃って食堂に向かって一緒に食事を取った。

 週末に買い物をする話をすると、


「もちろん行く!」


 とシャロンは即答で返してくれた。7日後になるけど、楽しみが増えたね。


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