第6話 入学試験の結果!
「それじゃあ、案内するわね。ついてきなさい」
そう言って、マリオンさんは学校の門をくぐっていく。私も続いて門をくぐる。
見たことのある景色に思わず目移りしてしまう。
あ!あの塔!主人公達が登ってたっけ!
あれはアトリエかな?錬金術の授業で使ってたっけ。どこもかしこも見覚えがありすぎて、どこ見たらいいかわからないよ!
マリオンさんは、そんな私をどこか、微笑ましそうに笑う。
「ずいぶんと大人びていると思ったけど、そう見ると年相応ね」
おっと、思わず立ち止まってしまった。マリオンさんが私をにこやかに見ている。
「すみません」
「いいのよ、ひとまず学園長のところに向かうわよ」
「はい!」
それからも、時折、見たことのある景色に目を奪われながらも、マリオンさんの後ろをついていく。
マリオンさんは一つの扉の前に立って、ノックをした。
「マリオンです、サラ・ヤガミさんをお連れしました」
「うむ、入りなさい」
しゃがれた男の人の声。扉を開けて入っていくマリオンさんの後に続いて入ると、そこはまたしても見覚えのある校長室。
そして、見たことのない年老いた男の人の姿だった。白いおひげを生やした、気難しそうな老人という感がする。
「……ふむ、キミがカレン嬢の娘とな?」
じろりと睨まれる私の方を見る。睨まれると少し空気が重い気がするんだけど、なんだろう、別に敵意は感じない。
なので、私もじっと見つめ返す。しばらく、お互いのことを見合う。
「……大抵の子はワシを前にすると怖がるものなんだが、キミは違うようじゃの」
老人は、満足したように、睨むのをやめた。空気が一瞬にして軽くなった感じがする。
ひょっとして試されてた?
「ワシの名前は、ギー・マロンガ。ここ、フィスニール魔法学園の48代目学園長をしている」
48代!凄い数字だ!物語の学園長は全然違う人だったと思うんだけど、ひょっとて学校は同じでも、違う世界ってことなのかな?そうなると、物語のキャラクターには会えないのか、それは少し残念。
いや、それは後でいいや。
「八神サラです。よろしくお願いします」
「うむ、よろしい。ではこちらに。マリオンくんもご苦労だった、その様子だとカレン嬢には逃げられたみたいじゃな」
「すみません、学園長。流石に追いきれませんでした」
「よいよい、今はこの子の事を優先しよう」
どうやら、お母さんは学園長さんにも迷惑をかけている様子。とても申し訳ない。
「早速じゃが、試験に入ることにしよう。えっと、どこにあったかの。……おっ、これじゃ」
学園長は自分の机の中をあさり、なにやら水晶玉のような物を取り出した。
あ、映画で見たやつだ!試験で使うやつ!
「試験は簡単。これに手を触れるだけじゃ」
やっぱり物語と同じだね。主人公が触ると白く光ってたっけ。他の人は違う色だったりするんだよね。
あの光は何も説明されてなかったけど、あれでどうやって合否を判定しているのかは謎のままだったんだよね。
「これは、試しの水晶と言って、その人が持つ素質などを契約者に教えてくれるものなのじゃ」
「素質がわかるんですか!」
「そうじゃの。この水晶の契約者はワシになっておる。じゃから、サラ嬢がこれに触れれば、その素質がわかるわけじゃ」
なるほど、謎がやっと解決した。物語でも、どうしてこの子が入学できたの?みたいな子もいたけど、素質を見ての判断だったのか。
「素質にも色々とあるでの、学力、体力、魔法力。それを総合してワシが判断している」
さぁ、触れてみなさいと私に水晶を差し出す。
「それじゃあ、失礼します」
ちょっと緊張しつつ、私も水晶に手を伸ばす。
私はどんな色の光になるんだろう?まさか、光らないってことはないよね?お母さんは大丈夫って言ってたし、きっと大丈夫……
意を決して水晶に触れると、
「あれ……わっ!」
光らない?と思った直後に、まばゆい光が水晶から出てきた。
「ぬぅ!?」
「きゃっ!」
学園長もマリオンさんもびっくりしている。
思わず、手を離そうとしたんだけど、どうも離れない。
「あ、離れない!」
すっごい眩しい、いつぞや初めてライトの魔法使った時以上の眩しさだ。
「ぬぅ、これは凄いぞ」
学園長はどこから取り出したのかわからないサングラスをかけて、光を見ている。いつの間に取り出したの?
「……あ、離れた」
たっぷり一分くらいしてやっと手が離れた。それと同時に、光は収まっていく。
「ふぅ、びっくりしたぁ」
思わず、素が出てつぶやいてしまった。そんな私を見て、学園長は笑う。
「ほほほ、これほどまでの光なぞ、カレン嬢以来じゃな。いや、カレン嬢よりも凄いかもしれぬの」
学園長はどこか楽しそう。今までの厳しい感じが霧散している。
「ふむ、こうなると……、いや、うーむ」
悩んでいる様子すら楽しそう。
「あの?」
「おっと、ちょっと待ちなさい」
話しかけても遮られてしまった。
「……さすがカレンの娘ね、想像以上にとんでもない才能を持っているみたいだわ」
マリオンさんもびっくりしたように私を見ている。なんだか、ちょっと気恥ずかしい。
この様子だと、どうやら、私にもちゃんと素質があったみたいだ。これなら学校に入れそう。
「ふぅ、よし!サラ嬢!」
「あ、はい!」
悩んでいた学園長が顔を上げた。
「キミにはこの学校の教師になってもらおうかの!」
……
……
「はい?」
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