『辺境最強の暗黒騎士が実はダークエルフだとギルド職員の俺だけが知っている。』
魔獣狩りを専門とする冒険者、“
ダンジョン探索を専門とする冒険者、“
盗賊や悪しき魔族、犯罪者退治を専門とする冒険者、“
そんな冒険者たちにクエストを斡旋するのが、冒険者協会……いわゆるギルドだ。
この物語は、辺境の街アルケーのギルドに努める不真面目な少年、ジャックが、ギルド長から直々にある命令を与えられるところから始まる。
命令の内容は、この辺境の街唯一のS級冒険者。“狩人”のノアがとあるクエストに向かうためのパーティメンバー集め。
渋々ノアの元に向かったジャックの目の前に現れたのは、全身物々しい黒い鎧に身を包んだ、威圧感溢れる暗黒騎士。ノアは無口で、いついかなる時もその物々しい鎧を脱がないため、街の住人はおろか同じ冒険者たちからも避けられているのだ。
色々問いかけて見たモノの一向に喋ろうとしないノアに業を煮やし、
「この話はなかったことで、」
と立ち去ろうとしたジャックの前で、ノアは漸く、兜を取る。
そうして兜の向こうに現れたのは、気弱で幸薄そうな雰囲気の美人のダークエルフ。
そして、彼女は言う。
「……“鎧剥ぎのボルティーク”。を、……狩り、たい……」
“鎧剥ぎのボルティーク”。鎧を貫通する雷撃を持った危険度最高レベルの魔獣であり、そのクエストの受注にはS級の冒険者が最低4人、必要。
さらにその“鎧剥ぎのボルティーク”は、冒険者だったジャックの両親を奪った魔獣であり、かつて冒険者を志していたジャックが、安全なギルド職員になることを選んだ理由でもあった。ジャックには妹がいるのだ。妹を一人ぼっちにしないために、
仕事だから、とジャックはノアの依頼を引き受け、パーティメンバー集めに奔走していくことになる。
条件はS級以上。だが、この街にいるS級の冒険者はノアだけ。ならばとれる手はA級の冒険者をS級に昇格させる事。
そうして、ジャックは数名、S級に到達する可能性のあるA級の冒険者に目をつける。
「ハ~っ、はっはっは!このボクに頼るとは、お前も地に落ちたモノだなジャック!」
などといつもうるさい、ジャックをライバル視する幼馴染の“狩人”、ミシェル。
「……手伝っても良いけど、いくら払うニャ?」
などと宣う、金とお宝にしか興味のないA級の“探検家”にして獣人族、語尾のニャをビジネスと言い切るターシャ。
「パーティ全員美少女で揃えてくれるなら乗ってあげても良いわよ?」
などと言い放つ、怪しげなお姉様にしてエロ装備を少女に着せることを生きがいにしている吸血鬼にして真面目にクエストをやる気が一切ないA級“狩人”のカミラ。
そんな3人をどうにか説得し、漸くノアと引き合わせてみてもノアの人見知りが発生してパーティとしてまるで機能しない。
それに頭を抱えつつもどうにか諸々手を打ち、S級昇格の試験へとジャックは導いていくが、その試験の最中、突如として討伐目標だったはずの“鎧剥ぎのボルティーク”が現れ、仲間を庇ってミシェルが大けがを負ってしまう。
危険を冒さないため。妹を一人ぼっちにしてしまわないため。手を出さなかったことを悔いるジャック。そんなジャックに、ギルド長からある知らせが告げられる。
実被害が出たことで、“鎧剥ぎのボルティーク”の討伐任務の重要度が上がった。他の街に依頼して本物のS級数名係でボルティークを討伐する、と。
それに頷く他になく、俯き帰路についたジャックの背を、けれど妹が押す。
“お母さんに教わった、クエストに行く前に両親が必ず食べていた料理”。
それを妹に出されたジャックは、自身の手で鎧剥ぎのボルティークを討伐しに行くことを決意する。
そうしてクエストを受けることなく、勝手に戦いへと向かうジャックの元に、仲間たちがやってくる。
「……鎧、意味ないから」
そう言って、いつもの鎧を脱ぎ、軽装でやってきたノア。
「ボルティークの素材。高く売れるらしい、にゃ?」
普段通りに肩を叩いてくるターシャ。
「負けっぱなしって性に合わないのよね……」
と、目が怖いお姉様。
そして、怪我を押して見送りに来たミシェルが、何も言わずに自身の剣をジャックに預けてくる。
「冒険するのは今回だけだ。今回だけ……俺がこの手で方をつけてやる」
そして、ギルド職員のジャックは、諸々のしがらみを全部無視して、魔獣退治へと赴いていった……。
ネタバレ 1章終盤
1人称予定。主人公は実はエルフ。
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