あのまばたきの意味

Rotten flower

第1話

暗い山道。熊出没注意の看板。人通りの少ないこの道路はいつしか「裏道」と呼ばれていた。

裏道の裏は裏社会の裏と同じ意味であり、反社会的勢力の温床になってしまった。

隣の県まで行くのに普通のルートだと30分かかるがこの裏道を使えば12分程度でいける。しかし、その分危険も多く最近では銃がここを通って私たちの県に入ってきているようだ。

そんなことを思い浮かべながら私は裏道に入っていった。

対向車線を走る車も少なく景色はそこらへんのビル街と比べれば綺麗だ。

木漏れ日が差すこの空間でも犯罪は収まっていない。

そんな時、対向車がやってきた。フロントガラスを見たらそこには、口にガムテープ。手には手錠。首には首輪をつけた女性が映っていた。

警察に電話するべきか私は考えながら運転していた。裏道を出たことにはそんなことを忘れていたが。


車内には無駄な私の声が響く。こめかみには銃口を突きつけられており、危機一髪という言葉が一番似合う状況だ。

ドライブレコーダーはこちら側を向いている。それもそのはずだ。

そもそもなぜ私がこんな状況にいるのか。それは元々わかっていた。ある人に命令されているのだ。


対向車が来る。男たちも私も驚きながら対向車の人にアイコンタクトをし伝えるように瞬きをした。


きっとあの瞬きは、助けて欲しいと言うことだったのかもしれない。


私の放ったまばたきは、別にこれはテレビの収録なので通報しなくても大丈夫ですよ。という意味を込めて相手の目に飛び込んだ。

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