観察！ モフェアリーズ

観察！ モフェアリーズ

　ふわモフェ・チャンネルをご覧の皆様こんばんは。

　そして初めまして。

　新番組「観察！モフェアリーズ」をよろしくお願いいたします。

　当チャンネルをご覧の皆さまは聴覚器官にタコができるほど聞いたフレーズですが……。

　モフェアリーは、哺乳類の小動物に酷似した姿をもつ、謎の多い小さな生物です。

　体にたいして大きなまるいシッポが、ふわっふわで可愛らしいですね。

　早速1匹のモフェアリーが現れました。

　モフィと名付けましょう。

　トコトコと一心不乱に歩いていますね。

　頭の正面に二つあるのは、くりくりとした可愛いお目々にみえますが、水分排出器官です。

　目は、頭の上の二本の触覚のようなものの先端近くにあります。カラフルなゼリー状の物質に保護されていますね。

　お目々が前に向かって伸びています。

　これは食べ物の匂いのするほうへ移動するときの特徴的な姿勢です。

　ほら、きのこがありました。モフィの好物です。

　モフィは食べないで立ち止まりましたね。

「ぴぃ！」

　あ。向こうから、もう一匹のモフェアリーがやってきましたよ。鳴き声で仲間を呼んだのですね。

　こちらはプニィと呼ぶことにしましょう。プニィがモフィのお尻の匂いを嗅いでいますね。モフェアリーはこのように挨拶します。

　こんどはモフィの番です。

　仲良しになれたようですね。

「ぴぅー」

　プニィが鳴いています。

　この鳴き方はストレスに晒されたときや仲間に警戒を促すときのサインです。

　それもそのはず、このキノコはモフェアリーの食糧ですが、ある条件下で毒性を帯びます。

　プニィはモフィに

「これは毒だよ」

　と知らせているのですね。

　モフィはあきらめて去ってゆきました。

　あれ？

　プニィはまだキノコのそばにいます。

　熱心に匂いをかいでいますね。

　前あしでちぎって……

　あっ！

　食べてしまいました。

　キノコの欠片で膨れた頬ぶくろが、あっというまに元どおり。

　このようにモフェアリーは、毒があると知っていても、ついキノコを食べてしまう場合があります。

　大丈夫でしょうか？

　プニィの顔が青ざめてゆきます。

「ぴぅーーう」

　地面にはいつくばってしまいました。

「ぴううぅぅぅーーー」

　とても苦しそうです！

　どうなってしまうのでしょうか。

　一方、モフィには仲間の悲鳴が聞こえたようです。

　引き返して行きます。

「ぴいッ！　ぴいッ！」

　プニィのまわりを歩き回りながら、鋭く鳴いています。これは助けを呼ぶときの鳴き声です。

　モフェアリーが集まってきました。

　その中に一匹、緑の葉を抱えた個体がいます。

　葉っぱを噛んで、口移しでプニィに食べさせていますね。

　プニィの顔色がもとに戻ってきました。

　元気になったようです。

　良かったですね。

　集まったモフェアリーたちは無事を見届けると巣に帰ってゆきました。

　そしてモフィとプニィも一緒に、キノコから離れてゆきました。

　これからは気をつけてね！

　今回はこの辺で。

　次回もお見逃しのないよう、フレンド登録をお願い致します。

　〜〜お詫びとお知らせ〜〜

　当番組制作時の動植物の扱いに違法性が認められたため、第2回配信は中止と致します。再会は未定です。

　視聴者の皆様にお詫び申し上げます。

　コンプライアンスに基づく真摯な番組制作に力を尽くして参ります。

　当チャンネルを今後ともよろしくお願い致します。

　　＊　　＊　　＊

　容疑者は「解毒の薬草を念のために用意したが、モフェアリーが本当に毒のあるキノコを食べると思わなかった。どちらも違法な植物だと知らなかった」と供述している。

　逮捕時に押収されたモフェアリーたちは、署内のケージで大切に飼育されている。

（了）