お別れの時

 アソコが痛い。なんかが挟まってる。

帰りはバイクで送ってもらった。


その日、帰る時、スニーカーを履いてる私に、紐が少し長いから危ないよ。と、結び直してくれた。オシャレに、こだわる先生らしい。


それが唯一、優しいと思った瞬間だった。


バイクで降りる時、二度とこの人は私と会わないと確信した。


「このまま遠くに連れてって」

ためしに言って見た。

「また今度ね」それだけだった。


家に着いたら、母が玄関の外に立っていた。

その顔は、悲しみと心配で、やつれていた。


「どこに行ってたの?友達の、家に電話したの。嘘ついたでしょ。どこにいたの」

 震えた。母は私を路地へ連れ込み肩に手を置き、誰のところでなにしてたの?

娘が、デートレイプされたのと思ったのだろう。

母親の鋭い勘だ。


「うるさい」

私はそう言って跳ね除けた。

とにかく疲れていた。

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