おとなじゃない

 先生とは電話で連絡を取るようになった。

5月のうちに、二人で泊まる約束をした。

 私は、もう一人の塾の友人に全てを打ち明け、盛り上がった。

みんな興味深々。


 そう。事が大きいなどと考えていなかったのだ。

先生とのお泊まりの日は、友人の家に泊まると嘘をついて下北沢へ向かった。

 駅まで迎えに来た先生は、どこかぎこちなかった。

私も人見知りが出てしまい、無言だった。

 コンビニに寄り、チキンラーメンを買った。

先生のアパートについて、部屋に入った。

 チキンラーメンを食べようとする私を笑っていたのを覚えている。


 それから、無言の時間が続いた。

私は母からもらった指輪を、取ったり付けたり、緊張でどうしていいのかわからなかった。

何時間、そうしていたのか。

 夜が明けてきた。

カーテンから、ほんのりと朝日が昇ってきた。

先生が

「この時間の空、好きなんだよな」

そう言った。

 それからは、また記憶が飛んでいる。

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