extra 1.333

 康太とマホが出会った翌日。

 夫婦は、新居の近くにある公園を散策していた。


「それにしても、前の家が火事になる前に引っ越せて良かったわね」

「不幸中の幸いだったよな。まあ、まだ運び終えてない荷物も結構あったし、警察と消防にもこれから……」

「もう、何時まで言ってるのよ。家族4人、怪我もなく無事だったんだから、それで良かったじゃない!」

「うん、そうだな。それが一番だよな……」


 そんな話をしながら、夫婦はベンチに腰掛ける。


「前の家も隣が公園だったけど、こっちの公園は桜が綺麗で良いね」

「そうね……」


 夫婦が桜を見上げた、その時である。夫が何かを見つけたようだ。


「なあ、あれって……?」


 そう言って、夫が桜の木の枝に手を伸ばす。木の枝に写真が1枚、引っかかっていた。


「これって、お兄ちゃんの写真じゃないか? ほらっ、ちょっと前に撮った……」

「あら、本当ね。風で飛ばされてきたのかしら?」

「良かった。写真は、全部燃えちゃったと思ってたから!」

「そうね。お兄ちゃんも喜ぶわ!」


 夫婦は、急いで新居まで走って行った。


balmy weather 完

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