宇宙のランデブー(地球外少年少女)

 それから暫しの間、沈黙が重く伸し掛かった。

 おそらく、相当にばつの悪そうな顔をしているであろう俺に対して、少女の表情は変わらずクールなままだ。


「ああ、誰かに名前を聞く時は、まずは自分からですよね? 私は、彦根康太という者です……あなたは、えっと、どちら様でしょうか?」


 先に沈黙に耐えられなくなったのは、俺の方だった。

 固唾を呑んで少女の言葉を待つ。


「私(わたくし)は、お兄様の妹です」

「えっ?」

「ですから、康太お兄様の妹です」


 何かの間違いだろうか? だったら良いな……


「お兄様が嫌でしたら、兄様、兄君様、兄上様など他のバリエーションも、ご用意が出来ますが?」


 残念ながら間違えではなかったようだ。

 先程までと変わらず、少女の表情はクールさを保っている。冗談を言っているようには見えない。


「いや、そういう事ではなくてですね……というか、お兄様と兄様って、ほぼ一緒ですよね!?」

「そうですか? 意外と違うものですよ。試しに“兄様呼びバージョン”の私を生成して聞き比べてみますか?」


 どうしよう? 価値観が違いすぎて、言葉は通じるのに話が通じないとか、そんな感じなのだろうか?


「私、兄妹というものに長年憧れておりまして。ぜひお兄様の妹にしていただきたく……」

「いや、いきなりそんな事を言われましても……」


 どうしよう? 話が通じない以前に、ヤバい子なのでは?


(逃げよう……)


 そんな考えが脳裏を掠めるも、状況が状況である。

 その時の俺には、目の前の少女以外に頼れるものがなかった。

 今にも切れそうな蜘蛛の糸だったが、その夜露を纏った怪しい輝きに、俺は縋るしかなかったのだ。


「お願いします! 私を、お兄様の妹にしてください!」

 

 少女の上目遣いに、一瞬、心が揺らいでしまいそうになる……

 加えて言えば、その曇りのない澄んだ瞳は、この想いが嘘偽りない本心であると、俺に訴えかけていた。


(いやいや、冷静になれ……)


 何度も深呼吸をして、どうにか頭を落ち着かせる。

 

「えっと……何でまた、俺なんかの妹に?」

「私は存じております。お兄様がアニメの妹キャラに並々ならぬ、異常な愛情を注いでいた事を……お兄様がその妹キャラの声優さんに向けて素敵なポエムをしたためていた事を……お兄様が……(以下略)」


 落ち着きを取り戻しつつあった頭が、一転、火花を散らしてショートする。


 白目を剥き、膝から崩れ落ちる俺を華麗にスルーして、少女は、その後も数時間に渡り(あくまで俺の体感である)熱弁を振るった。

 どうして自分がお兄様の妹になりたいのか、いかに自分がお兄様の事を慕っているのか、時折、俺の消し去りたい過去を交えつつである。


「あっ……あっ……」


 がら空きだったボディに、何発もクリーンヒットをもらってしまい、立っているのがやっとの状態だった。

 頼む、止めてくれ! 夜な夜な思い出しては、恥ずかしくなって、ベットの中で叫んでしまうじゃないか!!


「わっ、分かりました。今日から俺は、君のお兄様です! お兄様にしてください!!」


(洗脳ってこういう風にやるんだな……)


 俺は朦朧とする意識の中で、そんな物騒な事を考えていた。


(間奏)


 ……さて、少女が「お兄様は、私のお兄様なのですから、妹に敬語はお止めください」と言うので、ここからは砕けた感じで話していきたい。


「改めて質問するんだけど、君はいったい何者なの?」

「お兄様、私の事はアイリとお呼びください」

「じゃあアイリ、君はいったい何者なの?」

「私は……例えるなら、宇宙のプロデューサーといったような事をしています」

「ゴメン。さっぱり分からないんだけど……」

「では早速、チュートリアルを開始いたしましょう!」


 そう言うが早いかアイリは、黒のスーツに赤いメガネといった格好で、ホワイトボードを背に立っていた。

 メガネをクイッと持ち上げて、やる気まんまんという感じである。


「まずは、先ほどまでお兄様がいた宇宙について、この雑誌を使い簡単に説明したいと思います。」


 アイリが手にしていたのは、俺が死ぬ前に本屋で購入した某アニメ専門誌だった。


「宇宙というのは、ホログラム……と言いますか、平面的な画面を中心部から何もない空間に投影しているものです。立体的に知覚されていたかと思いますが、宇宙というのは、平面的なものなのです」

「平面的な画面が投影されているって事は、アニメみたいな感じなの?」

「はい。原画や動画など静止画の集合体と考えると、より分かりやすいですね」

「なるほど……」


 一応、頷いてはいたが、正直に言うと3割も理解していなかった。

 物理の勉強をちゃんとしていたら、理解できたのかな?


「次に時間についてですが、時間は、矢のようには進みません。過去も現在も未来も同時に存在します。エントロピーの増大を脳が錯覚……えっと、要するにアニメで例えると最終話まで完パケしている状態なんです」

「それじゃあ、未来は決められているって事なの?」

「そうではありません。未来が過去に影響を及ぼす事もあれば、過去が未来に影響を及ぼす事もあります。不確定なんです。アニメで例えると、未来に起きた事象によって、過去の放送回を修正したり、作り直したりする事もありますし、同様に過去に起きた事象によって、未来の放送回を修正したり、作り直したりする事もありますよね」

「過去が未来に影響を与えるっていうのは分かるんだけど、未来が過去に影響を与えるってどういう事?」

「例えば、未来で花瓶が割れたとします。花瓶はひとりでには割れないので、矛盾を解消する為、過去にその原因が生まれるんです。誰かがふざけて落としたとか、投げたボールが当たったとか……アニメで言うと結末が先に決まっていて、そこから逆算して序盤や中盤の展開を考えるといった感じでしょうか? 当然、何か諸事情で結末が変われば、序盤や中盤も内容が修正されますよね。最も未来が過去に影響を与えるというのは、かなりのレアケースですが……」

「なるほど。過去が変われば未来が変わる、未来が変われば過去も変わるって認識でいいかな?」


 いまいちよく分からないが、おそらく因果律や時系列というものに、あまり意味がないという事なのだろう。


「はい。そして、ここからが重要なのですが、それぞれの宇宙には、それぞれに主人公が存在します。宇宙の中心となる人物ですね」

「俺がいた宇宙にも、そんな人がいたの?」

「はい。詳しくは言えないのですが、お兄様の身近な人物ですね」


 パッと頭に浮かんだのは、マホ子の笑顔だった。


「そうか、やっぱりそうだったんだ……」


 俺は、マホ子という物語の中にいたのだ。

 ただ、そうだとするならば……


(やっぱり俺は、脇役だったんだな……)


 まあ、今更どうでも良い事か……

 俺は、一度、大きく息を吐くと、アイリに質問を続けた。


「質問なんだけど、それじゃあ、主人公とは直接関係がない……例えば、地球の裏側とかで起きている出来事っていうのは?」


 もちろん地球の裏側で起きている事が、自分に全く関係ないかと言われれば、そんな事はないのだろうけれど。


「地球の裏側などで起きている事象は、世界観を共有する別のアニメといった感じでしょうか?」


 宇◯世紀とか、バイ◯トン・ウェルの物語とか、そんな感じだろうか?


「それじゃあ、宇宙ってのは複数存在していると……?」

「おっしゃる通りです! そして、宇宙はそれぞれに調合性の取れる宇宙とお互いに重なり合い、大なり小なり影響を与え合っているんです。他との関係に依存するんですね。その結果として、俯瞰すると群像劇のように見えるという訳です」

「なるほど……」


 今回は、5割くらい理解出来たように思う。


「宇宙は無数に存在しています。そして、新作のポストアポカリプス作品や長期シリーズのサイバーパンクまで、複数の主人公の活躍を、視聴者が見守っているわけです」

「視聴者?」

「はい。エネアド、エグレーゴロイ、テクノコア、天津神、宇宙検閲官……等々、呼び方はいろいろあるようですが、私たちはオーバーマインドと呼んでいます。とりあえずは、特異な意識体のようなものとお考え下さい。彼らが特異点から、それぞれの宇宙を“見て”いるのです」

「う~ん、分かったような分からないような……」

「ところで、お兄様。コチラのアニメ誌に掲載されているアニメですが、人気のない作品がどうなってしまうかは、ご存じですよね?」

「えっと……忘れ去られるとか、誰も話題にしないとか? あっ、打ち切りか!」


 近年は、製作委員会方式のアニメが増え、放送途中に打ち切られるという事は、ほとんどなくなったが……あのロボットアニメが打ち切られていなかったら? たまに、そんな事を考えたりする。


「正解です。そういった作品こそファンがしっかり布教しなければいけませんね」

「ひょっとして、宇宙にもそういうのがあるの?」

「はい。宇宙は無数に存在します。しかし、無限ではありません。登場人物は同じでも、設定が少しだけ違う。キャラが違った行動を取る……そういった類似性の高い宇宙が無数に存在しているんです。複数の状態が入り混じっているんですね。ですので、全ての宇宙をまんべんなく視聴するというのは、物理的に不可能なんです。つまらない、退屈だ、理解が出来ない。そう視聴者に思われてしまったら、少しづつ、その宇宙は実在性を失っていきます。そして視聴者がいなくなってしまったら、そのアニメは存在していないのと同じになってしまうのです。誰も見ていない間は、月が存在していないのと同じように、誰もいない森の中で木が倒れても音がしないのと同じように……」

「同じ時期に、似たようなアニメが複数放送されている状態って事ね。じゃあプロデューサーってのは?」

「宇宙に介入して、他の宇宙との差別化を図る。もしくは視聴者を置いてけぼりにするような超展開を防ぐ……といった感じでしょうか」


 確かに、せっかく序盤で伏線を張っても、回収する前に打ち切られたら……寂しいよね。


「なるほど……」


 つい聞き入ってしまったが、ここで“1つ”根本的な疑問が湧いてくる。


「その、今更で申し訳ないんだけど、何で俺にそんな話を? 俺って、もう死んでるんだよね?」


 アイリは、俺の顔を見て、軽く微笑むと言った。


「それでは、いよいよ本題に移りましょう!」


 (guardian angel 完)




「先程の質問に答える前に……まずは、ここまで私の話を信じてくださって、ありがとうございました……」


 確かに、改めて思い返してみると(状況が状況とはいえ)にわかには信じがたい話である。だが不思議な事に、その時の俺は、アイリの言葉が嘘偽りない真実であると、頭ではなく心で理解していたように思う。


(ただ忘れていただけで、本当は生まれる前から知っていたような……)


 俺が星空を見上げていると、アイリがゆっくりと言った。


「まず結論から申しますと、お兄様はまだ生きています」

「えっ、俺、まだ生きてる……の?」

「はい。事故そのものが起きなかった……という方向で、過去改変が成されたようです」


 その瞬間、全身の力が抜ける。下がる肩に肺が押されて、魂まで抜け出てしまいそうになった。せっかく、まだ生きてたのにね。


「そっか、俺、まだ生きてるのか……そっかそっか、良かった良かった……」


 でも案外あっさりというか、いまいち実感が沸かないというか……

 思っていたよりも、自分が冷静な事に、驚いて……


「お兄様……」


 アイリが身を乗り出して、人差し指で俺の頬をそっと撫でる。


「ちょ、ちょっと!?」


 突然の事に、思わずのけぞって、尻もちをついてしまう。

 そして、上気した頬に手を当てた……その瞬間、気付く。


「涙……? 泣いてるのか、俺は……?」


 アイリが祈るように指を交差させながら、俺を見詰めていた。


「ダッセェなあ……こんなに、こんなにボロボロ泣きやがって……」


 冗談っぽい口調で自嘲し、そっと目を閉じる。


「また戻れるのか、あの日常に……」


 自分でも、泣いているのか、笑っているのか、よく分からなかった。

 涙と涎と鼻水で、顔がグチャグチャになっていたのは覚えている。


 アイリは赤いメガネを外すと、俺を抱き寄せて、悪戯っぽく囁いた。


「まったく、仕方のないお兄様ですね……」


 それから先の事は、あまりよく覚えていない。


(随喜之涙とはいえ、会って間もない、自称妹の胸を借りて号泣してました……なんて、恥ずかしくて言える訳がないじゃないか!)


 まあ、武士の情けという事で、あまり詮索しないでいただけるとありがたい。


 (間奏)


 さて、感涙に咽ぶ一方、徐々に冷静さを取り戻す過程で、いくつか不安や疑問も浮かび上がってきた。


「事故そのものが起きなかったっていうのは、どういう事なの?」


 アイリが用意してくれた濡れタオルで、顔を拭きながら質問する。

 気が付くとアイリは、出会った時と同じ、白のワンピースに着替えていた。

 ゴメンね。その、スーツをべショべショにしちゃって……


「運転者の方が、交差点に差し掛かる寸前で意識を取り戻し、急ブレーキを踏んだ……という改変が成されたようです」

「そっか……」


 ホッと胸をなでおろす。そもそも事故が起きなかったのなら、あの女生徒も運転手も、今頃は無事に過ごしているはずだ。


「でもどうして!?」

「願いの書……すみません。お兄様の宇宙では『ノート』に願いの力が宿っているのでしたね。そのノートに、お兄様の“死”のキャンセルが懇請されました。結果、ノートはその願いを受諾し、お兄様はめでたく復活と相成ったわけです」

「ノートって、今日、オカ研に届いた、あのノートだよね!?」

「その通りです、お兄様。理解が早くて助かります」


 我ながら、この辺りの理解の速さというか、受け入れ態勢の整いっぷりは、オタクとして、日夜、鍛錬している、妄想力の賜物なのだろう。


「じゃあつまり、どこかの誰かが、俺が生き返るようノートに願ってくれたおかげで、俺はめでたく現世に帰還できると……」

「はい。ただ1つ問題がありまして……」


 あれっ? 無事に現世に戻って、ハッピーエンドじゃないの?

 困惑する俺に、アイリが続ける。


「あのノートは、他の類似性の高い宇宙と差別化を図る為の道具。“テコ入れ”とでも言えば良いのでしょうか? そういった目的に使用される物です。発動された場合、過去、現在、未来、全てに影響を及ぼします」


 まんねりを打破する為に、刺激的な設定や展開を付与する為の物といった所だろうか?


「ノートはその宇宙の主人公、もしくは主人公に近しい人物の、命を賭してでも叶えたいという“強い想い”をトリガーとして発動し、その願いを叶えます。もちろん数に上限はありますし、叶えられない願いもあります。また主人公に近しい人物の願いは、歪んだ形で叶えられる事も多いと聞いています」


 すぐに理解できた。そっか、マホ子が願ってくれたのか……

 思わず、また涙ぐんでしまう。


「さて、ここからが問題なのですが、あのノートは発動された瞬間、周囲に存在した他の願いも無作為に叶えようとしてしまうんです。そしてそれは、願いが具現化した“怪物”として、その宇宙に顕現します」


 主人公か、もしくはそれに近しい人物であれば、ある程度の勝手は許容されるけど、モブまで好き放題を始めたら、収集が付かなくなる……そんな感じかな。


「えっと、怪物って事は、巨大怪獣みたいなのが街に出現したりするの?」

「怪物……私たちは『イドの怪物』と呼称していますが……イドの怪物は、個体によって外見や特徴が、かなり異なります。いわゆる巨大怪獣のような個体も、過去に確認された事例はあるようです」

「そんなのが街に出てきたら大変じゃ!?」

「はい。ですが、安心して下さい。イドの怪物は、一時的にであれば、別の空間……『結界』という言葉が分かりやすいでしょうか? そこに隔離する事が可能です。しかし、何時までも閉じ込めておく事は出来ません。そこでお兄様の出番という訳ですね!」

「俺の?」

「はい。お兄様には、その怪物をボッコボコにしていただきます!」

「俺が?」

「はい。私も全力でサポートいたします。大丈夫、絶対に倒せます!」

「俺に?」


 とてもじゃないけど、倒せるとは思えないんだけど……


「一緒に頑張りましょうね、お兄様!」


 アイリは、俺の手を取ると、天使のような微笑みで言った。


「う……うん……」


 さっき、胸を借りて号泣してしまった手前、まさか「無理です」とは言えなかった……


(間奏)


 星空の中に浮かぶ巨大で荘厳な雰囲気の扉。空には無数の光の筋が浮かび上がる。

 まるで中世の宗教画を思わせる神々しい光景。その美しい絵画の中にアイリは立っていた。


「どうぞお兄様、この扉です……」


 アイリが、扉を手で示す。

 僅かに空いた隙間から、光の粒が漏れていた。


「ねえ、アイリ。最後に1つ、質問してもいいかな?」

「はい。何でも聞いてください」

「イドの怪物が出現するのって、俺が生き返ったからなんだよね? だとしたら、俺がこのままこの場所に残れば……」


 さっきは、半ば強引にイドの怪物退治を約束させられてしまったが、イドの怪物の出現が俺のせいだとすると……

 生き返らせてくれたマホ子には本当に感謝しているが、やはり責任を感じてしまう。


「いえ、もともとお兄様のいた宇宙は、そう遠くない未来に実在性を失うはずでした。ノートが使われていなければ、存在しないのと同じ状態に近い将来なっていたでしょう。ですから、ノートが使われたのは必然でした。お兄様のせいではありませんよ」

「ありがとう。それを聞いて安心したよ」


 アイリが優しく微笑んで、扉を背に両手を広げる。

 アイリのバックにキラキラと光の粒が舞い、まるで背中の羽が輝いているように見えた。


「アイリ……君は、やっぱり天使……?」

「違います」


 やっぱり、即答だった。


 (間奏)


 アイリが上目遣いをして、少し悲しそうな表情を浮かべる。

 ふと振り向くと、俺の記憶の上映は、まだ続いているようだった。


「俺の兄ちゃん、超格好いいんだ! だから俺も大人になったら、兄ちゃんみたいなヒーローになりたいんだ!」


 公園の砂場で、小さい頃の俺が、当時流行っていたアニメ『宇宙の戦士』のポーズを決めていた。


「じゃあ、私も魔法少女になって、ネー君と一緒に戦うよ! それで皆の生命と財産を守るの!」

「それ、駅前で政治家のオジさんが言ってたヤツじゃん……」


 懐かしくなって、つい笑ってしまう。


「お兄様、それでは最後に、もう一度、お聞きします。お兄様には2通りの選択肢があります。1つは、ここに残り、死を受け入れる事。もう1つは……」

「そんなの、決まってるだろ!」


 俺だって、本当は……


「分かりました。お兄様、イドの怪物はすぐに出現するわけではありませんが、いずれ必ず出現します。その時に、またお会いしましょう!」


 扉を開けようとする俺に、アイリが小さく手を振る。


「またね、アイリ……」


 俺は、アイリに手を振り返すと、勢いよく扉の向こうへ飛び込んでいった。


boy meets girl 1.1 完

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