第2話 世界
朝目覚めるといつものベッドにいた。
彼女は何だったのだろうか。夢だったのだろうか。
しかし、朝のニュースには小太りの男が映っていた。
「今回の犯行は話題になっている連続殺人犯のものだとして警察は捜査を進めています。尚、未だ犯人の消息は掴めていないとのこと。犯人の特徴は女、
「…」
どれだけ実感が湧かなくても彼女は存在している。
「早く学校に行きなさい。」
「はい、母さん」
今日の授業は一切集中できなかった。彼女の事で頭が回らなかった。
しかし、僕は今彼女がどこにいるか分かっている。
僕の異能は
だから、今彼女にコンタクトを取ろうと思えば取ることも出来る。
しかし、危険な目に合う可能性を考えると中々足が進まない。
「ただいま…」
「おかえり!」
返事が返ってくるときは舞が家にいる時だ。
「朝から元気無いけど、どうしたの?」
「ちょっと考え事しててさ、、」
「そっかぁ、、、何かあったら相談してね!」
「あぁ、ありがとう」
その後も僕は彼女のことを考えながらベッドで横になることにした。
ウトウトしていると頭に激痛が走る。
「い…!」
なんだ?何が起こったんだ?
どうやら、痛みの原因は彼女のようだ。
「何があったんだ」
気づけば僕の足は彼女の方に向かっていた。
そこは、まるで全面に赤いペンキを塗ったかのような部屋だった。
首のない胴体や腹が裂け頭がひしゃげている男、人間だった肉塊。
どこを見ても飛び出た脳、臓器、血しか映らない。
しかし、僕の目に映るものは一つだった。
「だ、大丈夫ですか?」
「ん、大丈夫だよ!」
彼女は光るような笑顔で僕を見る。
「二回目だね!今日は家まで送れないから早く帰りな?
もうすぐ警察も来るからさ!このままだと共犯だと思われちゃう」
「それより、傷の手当が先です。その量の出血は死にますよ」
「でも、君救急セットとか持ってないでしょ」
「手をお借りしてもよろしいですか?」
僕は彼女の手を取り
これは感覚共有の応用、感覚移動だ。
これで、彼女の痛みの原因ごと僕の方に移動する。
「君、大丈夫?」
「大丈夫です。」
ハッキリ言って全然大丈夫じゃない。痛すぎる。目、鼻、耳から血が出てくる。
内臓に切り傷を入れたのだから当たり前だ。
しかし、痛みの原因が移動するにしても外傷も全て内傷に代わるのは聞いていない。
とりあえず、ハグくらいしてくれないと割に合わない。
「こっちおいで」
「はい?」
「もうちょっと」
「もう肩が当たるんですけど」
彼女は僕を優しく抱きしめた。
「私の異能は対象の心が読めるんだよ?何考えてるかバレバレだよ」
彼女はあの時の笑顔を見せる
「…」
言葉が出ない。ただ、今はこのままがよかった。
「見つけたぞ!!」
「あちゃぁ、良いとこだったのに」
情報を聞いた警察がこの部屋に駆け付けた。
数は大体5人くらいだ
「貴様、これで何人目か分かっているのか!!」
「大体、、、8人くらい?」
「今日を合わして14人だ」
「じゃぁ…これから19人になるね!!」
言うや否や彼女は走り出す。
「きゃはははははははははは!!」
彼女は猟奇的な笑い声を上げながら一人、二人、三人と警察達を殺していく。
「たのしいねぇ!たのし…」
ドアから乾いた銃声が響く。
「当たったぞ!!囲め!」
裏に居た警察がゾロゾロと出てくる。
僕は直ぐに駆けつけた。
バレないように手を当て
(感覚共有→感覚移動)
また口から赤い血液を吐き捨てる
「君!大丈夫かい!すぐにてあ…」
「君なぁいす」
警官の首は直ぐになくなってしまった。
気付けばこの部屋にはも2人しかいない。
僕は立ち上がり彼女に近寄ろうとする。
ぐちゃぐちゃぐちゃ
警察からのぞき込んでくる
「君、私とは関わらない方がいいよ。」
「いやです。」
「君と私は住む世界が違うんだよ。
だから私に引っ張られないで、君は生きてよ立派な
そう言って、彼女は暗闇の中に消える。
「最初に、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます