最弱能力に愛をこめて
紫央 翔
第1話 ファンデーション
僕は嫌な事があると必ず向かう場所がある。
それは、夜の路地裏だ。
細く枝分かれした道で、
そんな僕だけの世界に異物が現れた。
僕は目を離せなかった。
そこには、返り血に染まる
満月の夜、僕は君に
5月23日 木曜日 (晴)
朝、アラームで起きる。
「もう、朝か」
僕は、
ごくごく普通の高校生。成績も普通、運動も普通 。強いて言うならば理系だ。
「おはよう、そこにパンがあるから適当に食べて学校に行きなさい」
「わかったよ、母さん」
「おはよう、お兄ちゃん」
「あぁ、おはよう」
「ダメよ、お兄ちゃんと違って
この世は不条理だ。この世界のカーストは全て
異能は
妹の異能は世界でも貴重な
一方僕の異能は…
「惑、早く学校に行きなさい。」
「うん、、、」
今日は1時限目から異能演習。
また周りからいじられるんだろうな、、、
静かな教室にチャイムが鳴り響く。
「よーし!今日は1限目から異能演習だ!!復習だ!発動条件は覚えてるか~?!
今日は23日だから5番太田!言ってみろ!」
「はい、異能は4種類で
「おぉ、正解だな!大体の子が
「はい、なんかすいません。」
僕はこの教師が嫌いだ。僕を見下している、劣等種のいるクラスを持ちたくない。そんな感情が
「先生~黒咲謝ってるじゃん~w」
「黒崎君の
ストーカーするでしたっけ?w」
「やめてあげなよwこいつ前の彼女に
こいつらは俺のことを見下す人間の一部だ。
「先生、すいません。体調悪いんで保健室行っていいですか。」
「おぉ、好きにしろ」
「ありがとうございます。」
教室は黒崎の足音と扉の開く音が響き渡る。
黒崎が教室を出るとまたざわざわと聞こえてくる。
あながち僕の悪口やらを言ってるんだろう。
保健室は良い。静かで、落ち着く。それに、保健室の先生は綺麗だ。
そして僕と同じ
僕にとってこの人は凄い。劣等種と言われる中、教師になるのがどれだけ難しいか想像に
「黒崎くんまた来たの?異能演習の時間だけ休みすぎだよ?
気持ちは分かるけどちゃんと授業出ないとダメだぞ!」
「ここだけなんですよ。気が抜けるの、家は妹が現象系でろくに相手もしてもらえないし、学校では
「とにかく、今日の異能演習が終わったら授業に出るようにね?」
「はい!」
先生は明るいし優しくて本当に凄いと思う。
だけど、今日授業に出る気などさらさら無い、普段は優等生しているんだから今日くらいはサボってもいい。
夜、僕はお気に入りの場所に行こうと決めた
結局、僕は高校が終わるまで保健室で僕の
「珍しいね、放課後まで保健室居るの。今日はゆっくり帰りなさい。親御さんには特別に言わないであげるから!」
「ありがとうございます。
僕は先生のこと、尊敬してますよ。」
「そう、」
目をそらす。
「またお願いしますね」
保健室の重いドアはゆっくりと閉まる。
「黒崎くん…
保健室のドアがまた開く
そして内側からカギがかけられる。
皆が終礼をしている中帰るのは少し優越感がある。
「ただいま」
勿論、返事があるわけでもない。
「少し出かけるから。」
そう言って惑は家を出る。
「あ、お兄ちゃん!帰ってたんだ!お帰り」
「あぁ、ただいま。母さんにバレるから早く家に入っとくんだな。」
「はぁい…」
僕は、舞と極力関わらないようにしている。
なぜか?簡単だ。この世の
自分でも認めている。かといって異能で決まる世界が悪いなんて思ってない。
「あ、お兄ちゃん。最近近くで
「ありがとう、気を付けるよ」
最近、無差別連続殺人が起こっている。
無差別といっても実際に殺されているのは
何がしたいのか分かないが、気分が良い。
僕らをバカにする奴が死んでも
特に何も思わない。
どうせ、よくいる
街の
街灯がつき徐々に人が減る。
僕はこの時間になると必ず行くところがある
一番大好きなところだ。それは路地裏だ。
路地裏の隙間から覗く外の景色は、
まるで僕が違う
しかし、今日の路地裏は違和感があった。
何か荒れている?人が走り抜けた跡がある。
正直、僕の
それでもこの
そうして進めばマンションの
このはしごを
そう思っていた。またここに上りいつも通り気を紛らわせる。
それだけだった。そうなると思っていた。
しかし、今日見た景色はいつもの景色と違った。
このくそみたいな
目の前の異様な
僕に映った物は、首の無い小太りの男と
生首を持つ一人の美女だった。
僕は
そして
「綺麗だ…」
僕の口が勝手に動いた。
「…」
彼女は無言で
その時僕の
月の灯りに反射してこの世の何よりも綺麗に見えた。
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