第3話

「最高のパートナー……?それが本当に大切なこと?私達が一緒に幸せに暮らすことよりも?」


私は涙を流しながら訊いた。


レオンは断言した。


「そうだ。それが本当に大切なことだ。君が一緒に幸せに暮らすことなどどうでもいい。僕は聖女と一緒に幸せに暮らすつもりだから」


「レオン……どうしてこんなに変わってしまったの……」


私は悲しみに震えた。


レオンは冷笑した。


「変わった?いや、僕は変わってないよ。君が勘違いしてただけだ。僕はずっとこのままだったんだよ」


「そんな……」


私は絶望した。


レオンは最後に言った。


「さあ、早く婚約指輪を返してくれ。これから聖女に渡すんだから」


「聖女に……?」


私は目を見開いた。


レオンが私に渡した婚約指輪は、代々王家に伝わる宝石で作られたものだった。


それを聖女に渡すということは……


「そうだ。僕と聖女は今日中に婚約するんだ。そして明日、結婚式を挙げる」


「今日中に……明日……?」


私は呆然とした。


レオンはニヤリと笑った。


「驚いたか?でもこれが現実なんだよ。君との婚約破棄も、聖女との婚約も、結婚式も、全て父上の許可を得て決めたことなんだ。君がどう思おうと関係ないよ」


「父上の許可……?王様が……?」


私は信じられなかった。


王様は私達の婚約を喜んでくれていたし、私にも優しく接してくれていた。


彼がこんなことを許すはずがなかった。


レオンは冷たく言った。


「父上も聖女のことを気に入ってるんだよ。彼女が国にとって必要な存在だと分かってるからね。君なんかよりずっとずっと大切なんだよ」


「そんな……」


私は涙が止まらなかった。


レオンは私の手を掴んで、無理やり婚約指輪を外した。


「痛い……やめて……」


私は抵抗したが、レオンの力には敵わなかった。


レオンは婚約指輪を手に取って、満足そうに見た。


「これで終わりだ。さようなら、エリザベス・ファルコン。もう二度と会うことはないだろう」


「レオン……」


私は悲痛な声で呼んだが、レオンは振り返らずに部屋を出て行った。


私はその後ろ姿を見送った。


婚約破棄された悪役令嬢の末路……


それはどうなるのだろうか?


私は恐怖と絶望に打ちひしがれた。


私は婚約破棄された後、王宮から追放された。


レオンは私に何の慰謝料も与えず、私の財産や持ち物も全て没収した。


私は自分の領地である辺境の地へと向かうことになった。


辺境というのは、王都から遠く離れた荒涼とした土地で、魔物や盗賊が跋扈している危険な場所だった。


そこに住む領民や家臣たちは、私を快く迎えてくれるだろうか?




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