第4話

私は不安に思った。


しかし、私には他に行く場所もなかった。


私は自分の運命を受け入れるしかなかった。


「お嬢様、もうすぐメルドルフ領です」


馬車の中で眠っていた私を起こしたのは、私に付き従ってくれた唯一の家臣だった。


彼の名前はイザーク・ハインツといって、私の護衛騎士兼執事だった。


彼はレオンと同じ金色の髪と碧色の瞳を持つ美青年だったが、レオンと違って真面目で忠実で勇敢で優しかった。


彼は私に対しても敬意と友情を持って接してくれていた。


私は彼に感謝していた。


「イザーク……ありがとう。あなたがいてくれて本当に良かった」


私は彼に微笑んだ。


イザークは恥ずかしそうに言った。


「お嬢様、そんなことを言わないでください。私はお嬢様に仕えることが誇りです。どんな困難があろうとも、お嬢様のそばにいます」


「イザーク……」


私は彼の言葉に感動した。


イザークは窓から外を見て言った。


「お嬢様、あれがメルドルフ領の城です」


私も窓から外を見た。


そこには荒涼とした土地に建つ、古くて小さな城が見えた。


それが私の新しい住まいだった。


「これからここで暮らすんだね……」


私は少し寂しく思った。


イザークは励ましたように言った。


「お嬢様、大丈夫です。領民や家臣たちは皆、お嬢様を歓迎してくれると思います。そして私もお嬢様を守ります」


「ありがとう、イザーク。あなたがいるだけで心強いわ」


私は彼に笑顔で答えた。


馬車は城門に到着した。


そこには領民や家臣たちが大勢集まっていた。


彼らは私の姿を見ると、歓声を上げた。


「お嬢様、お帰りなさい!」


「お嬢様、お待ちしておりました!」


「お嬢様、これからよろしくお願いします!」


私は彼らの声に驚いた。


彼らは私を快く迎えてくれているようだった。


私はイザークに訊いた。


「イザーク、これはどういうこと?」


イザークは嬉しそうに言った。


「お嬢様、これは領民や家臣たちが、お嬢様の帰還を祝ってくれているんです。彼らは皆、お嬢様のことを尊敬していますし、愛しています」


「尊敬して……愛して……?」


私は不思議に思った。


私はこの領地に来たことがなかったし、彼らとも面識がなかった。


なぜ彼らは私に対してそんな感情を持っているのだろうか?





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