第3話 羽奈の考え方
(やった!優が一緒にサンドイッチ作ってくれる!お外にも出れるなんて、やっぱり優は頑張り屋さんだなぁ。)気持ちが浮き立っている羽奈は、冷蔵庫からハムや卵、レタス、食パンを取り出す。
「じゃあ、優はレタスちぎって。適当な大きさでいいよ。」
「うん。」ビリッ。レタスのちぎれる音が部屋に響く。優の口角が少し上がった。
「わ!できた。こんな感じでいい?」
「うんうん!上手だよ〜優!」羽奈は嬉しかった。笑顔を浮かべる優を見るのは何日ぶりだろうか。
(病気によって精神を病んでしまうことがある。それは仕方のないこと、なのだろうか。優は何も悪くない。ただ、運が悪かったのか。)
羽奈はずっと考えていた。病気が健康に及ぼす影響を。
「羽奈?どうしたの?」優の心配そうな顔が視界に入る。僕が何かした?とでも言いそうな表情をしている。
「ううん、何でもない。考え事。」羽奈はニコッと笑うと、手に包丁を持ちハムを切り始める。
そっか、という優。何か言いたげだ。
羽奈は何事も無かったかのように食パンをグリルで焼き始める。視線を感じた。隣を見ると、優と目が合った。
「どうした?」羽奈が問いかける。
「いや、なんか元気ないなぁと思って。僕が何かした?」あぁ、予想通りだ。優はそんなことを私に聞く。
「大丈夫だって、笑。優こそ大丈夫?」羽奈は一応優のメンタル状況を確認する。
「うん。僕は大丈夫。羽奈が元気だったらそれでいい。」羽奈は嬉しかった。いつも優は私のことを気にしてくれる。ピピッとグリルから音が鳴る。パンが焼けた合図だ。
「わぁ〜!綺麗に焼けた!見てみて!」踊るような声で羽奈が優の方を向く。
「ほんとだ、焦げなくてよかった〜笑。」はははっと2人で笑う。羽奈はグリルからパンを取り出し、2等分に切る。中にはゆで卵を潰したペーストを敷いた卵サンドイッチと、ハムとレタスを敷いたハムサンドイッチだ。我ながら上手くできたと、羽奈は笑みを浮かべる。そんな羽奈を、優は生まれた赤ちゃんを見るような目で見つめていた。
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