傭兵仲間


城門の近くまで行くと、何人かの団員が倒れており、その向こうに見知った顔があった。


「おーい!久しぶり〜」

ヴィントから降りて近づくと大きくブンブンと手を振ってくる炎舞と、軽く手を挙げる銀狼がいた。


「よお。元気か?」

「よおじゃない!お前ら、何で城の前で暴れてる?」


「いやー疾風のこと嗅ぎ回ってる奴が居たから締め上げたらこの国の奴だったんだよね。

で、怪我が完治していない状態の君がこの城に連れて行かれたと聞いてね。」

「それで?」


「様子を見に来た。」

「あぁ。そうしたら門前払いだったから軽くな。」


「はぁ、そりゃあそうだろ。どこに傭兵をホイホイ城へ入れる国があるんだよ。無茶するなよ。

でも、俺のこと心配してくれたんだな。ありがとう。

で、俺に話があるなら街の酒場でいいか?」


「疾風がいいならそれでいい。」

「じゃあそこでちょっと待っとけ。説明して馬を戻してくる。」

「分かったよ。」


炎舞と銀狼が門から離れて道の脇へ移動したのを確認して、俺は倒れている団員のところに向かった。



「大丈夫か?武器は使われてないみたいだな。」

良かった。あいつらが武器持って暴れたら全員死んでた。戦場でもないここ城門でそんなことはしないだろうが。


「はい。ベナットさんの知り合いですか?」

「あぁ・・・傭兵の知り合いだ。俺が怪我したのと同じ時に怪我をして、2人も戦場を引いたと聞いていた。」


「もしや彼らも二つ名持ちですか?」

「あぁ、赤い髪が炎舞でもう1人が銀狼だ。」

「炎舞と銀狼・・・そうでしたか、それは敵わないわけだ。」


気絶した2人を担いで、他も怪我人を連れて救護室に向かった。


ヴィントは動ける団員に預けて、俺は団長の部屋に報告に行ったが、いなかった。


どうしたものか・・・


とりあえず、机の上にあった白紙の紙に、簡単に内容を書いて置いていくことにした。




炎舞と銀狼のところに向かうと、ちょうどカロリーヌが団員2人と戻ってきた。


「あれー?疾風の嫁じゃん。」

「お久しぶりです。炎舞さんと銀狼さん。」


「おい、彼女に近付くな。」

炎舞が、馴れ馴れしくカロリーヌに近付くから、思わずムッとしてカロリーヌを自分の背に隠した。



「ふむ、あの、女に微塵の興味も持たない疾風がな。嫁というのは本当だったか。

あの疾風が、なんか身嗜みにも気を遣っているし、ベタ惚れか。クククク」


「なんなんだ?銀狼。」

「確かにー!人間の姿の疾風って久々に見た。10年ぶりくらいじゃない?」



「人間の姿ってなんだよ。元々俺は人間だ。

・・・とりあえず移動しよう・・・。

カロリーヌは団員と城に戻ってろ。こいつらは俺に用事らしい。」



「分かったわ。いってらっしゃい。」

「あぁ。」

いってらっしゃいというカロリーヌの言葉に頬が緩んだ。


城へ入っていくカロリーヌを目で追っていると、何だか2人から生温かい視線を感じる。



「・・・・・・・な、なんだ?」

「べつにー?」

「行くぞ。」


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