騎士団員とべナット
カイがベナットに近づいていって肩を叩いた。
「ベナット、何で落ち込んでるんだ?何にも恥ずかしがることはない。
俺は疾風という二つ名の通り、動きは風のように速いと思ったし、あの動きに感動した。」
「そうか?でもまだまだだ・・・」
ベナットは顔を上げた。
「ベナットの動き、実は全然追えなかった。あれ、どんな動きをしていたのか、ゆっくり動きを再現してみてくれないか?」
「あぁ、いいけど。」
「俺も見たい。」
「俺も!」
「俺も追えなかったから見たい。」
「俺も見えなかった。」
なぜかゆっくり再現してほしいと皆から言われた。
「わ、分かった。団長役を誰か。」
「俺がもう一度やる。俺も知りたい。」
「団長はさっき見てただろ。」
「見えなかったの!」
「まぁいいい、そういうことにしとく。じゃあゆっくり、当てないようにやる。」
「そうしてくれ。実はめちゃくちゃ痛い・・・」
俺は、ゆっくり縦横無尽に駆けたり跳ねたりを織り交ぜながら、真ん中で持った木剣を逆手の状態で団長の足や腕に触れさせた。
「最後にやったやつは?」
「首筋に当てたやつか?」
「そうそれ。」
「こう、足をこんな感じでさっと運んで一気に距離を詰めて、首に当てる。」
「おぉぉぉぉぉ!」
「スゲェェェェェ!」
「疾風って名を付けられただけのことはあるな。」
「王都に住んでた時、たまに森で訓練してたんだろ?その時の内容も教えてくれよ。」
「構わないが、俺用だから皆んなにも合うかは分からん。」
「前に王女様が襲撃されたとき、野盗を1人で倒したんだろ?何人をどれくらいの時間で倒したんだ?」
「たぶん15人くらいか?5人くらいは騎士達が倒していたから。
時間は・・・行って帰って、そうだな、50数えるくらいだと思うが、あんまり覚えてないな。」
「マジかー」
「さすがだなー」
「身長はどれくらいあるんだ?」
「分からん。調べたことがない。」
その後も色々と質問攻めにあって、皆んなと打ち解けることができた。
後日、団長からベナットの戦いや性格についての報告書が宰相と陛下の元に届けられた。
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