第3話 廣瀬大社

 龍田たつた大社は、かなり昔ですがお参りしたという記憶があります。

 しかし、廣瀬ひろせ大社はお参りしたことがありませんでした。

 ヒロインがお参りしたと言っているのに作者がお参りしていないのはよくない、ということで、訪ねてみることにしたわけです。

 まず斑鳩いかるがから南へ向かって大和川まで出ます。

 斑鳩まで来て法隆寺にお参りしない、というのももったいない。でも、今回は、聖徳太子より前、また、仏教公伝より前の時代の物語の関連で来ているので、パスしました。

 しかし、王子町、聖徳太子のペット「雪丸」を強力に推してますねぇ。

https://home.oji-kanko.kokosil.net/ja/yukimaru/greeting

 このあたりの大和川はいまも大きい川です。自動車道路が整備された現在、舟運しゅううんを利用することはないと思いますが、このあたりまで船(舟)で来た、というのは十分にあり得ると思いました。詳しくは調べていませんが、この水量ならば、近代に入ってからも、鉄道や自動車道路が十分に整備されるまでは舟運は使っていたのではないかと思います。

 この大和川を渡るのに、昔は、渡し船があったり、一時期は木橋がけられていたりしたそうですが、いまはりっぱな橋ができています。その橋を渡ります。

 川を渡ったところは家が並んでいて街になっています。その街の家並みから少し離れたところ、東側に、森が長く続いているところが見えました。自転車を借りる前にいただいた地図と合わせてみると、これが廣瀬大社の森らしいです。

 斑鳩のほうから来ると大社の北側に出ます。参道は南側かららしいので、その大社の森に沿った細い川沿いに南へ向かいました。

 南側、大きい鳥居を通ったところの駐車場に自転車を置き、広い参道をあらためて北へと歩いて向かいます。

 森といっても幅は狭いのですが、木々のあいだを、頭の上まで高い木の枝に覆われて進むと気もちが落ち着いてきます。さわやかでもあり、湿っぽくもある森の空気に浸されて、社殿に着きました。

 ところどころに花が咲いている桜が社殿の前に枝をさしかけています。桜と神社が調和していて、よい感じでした。

 もちろん社殿は当時のものではありませんが、古代、舟運で河内から飛鳥へ入ろうとした人たちがここで逗留とうりゅうしてお参りしてたんだろうな、ということが自然に感じられました。

 不自然に感じられたりすると、お話を変えなければいけないところでしたが。

 ところで、この神社に、日露戦争で鹵獲ろかくされたロシア軍の大砲が、かなりぼろぼろになりながらも保存されています。

 驚いたのが、そのロシア軍の大砲がワルシャワ製だ、ということでした。つまり「ロシア領ポーランド」製なのです。

 分割されてロシアに組み込まれたポーランドが、ロシアの戦争に巻きこまれていたわけです。

 ポーランドは、その後、第一次世界大戦とロシア革命で独立を果たしました。第二次世界大戦ではドイツとソ連に分割され、第二次大戦後にはソ連系の共産主義政権に支配されましたが、その下でもさまざまな形で抵抗が続きました。それで、冷戦崩壊で、ソ連~ロシアやその系統の政権からの独立をようやく獲得したのでした。

 私が学生のころに言われたのは「ポーランドはソ連(まだソ連でした)をはさんで隣の隣」ということでした。

 フィンランドも「隣の隣」。

 ほかにもいっぱいあります。エストニアとか、リトアニアとか、ラトヴィアとか、ベラルーシとか、ウクライナとか、ジョージア(サカルトヴェロ)とか。一方で、ポーランドは、ベラルーシが独立国になったので、ロシア領とは飛び地のカリーニングラード地域とだけ接することになっています。

 「隣の隣」のことはやっぱり知っておかないといけないんだよな、と思いました。

 いっぱいありますので、なかなかたいへんですけど。

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