(二)-17

 グラウンドの端にある部室棟の陸上部の部室に戻り、自分ロッカーを開けて携帯を取り出して見ると、サナさんからの着信が四回もあった。しかも一回ではなく何度もだった。時刻は立て続きに三回、その後三〇分経ってから一回。それがつい今さっきのようだった。俺が携帯を手にしたときに切れたのだろう。

 今度は一体何の用なのだろうか、と考えを巡らせていると、携帯が鳴った。画面には「サナさん」と表示されていた。

 俺はすぐに電話に出た。

「やっとつながった。今どこ?」

 電話越しのサナさんは早口だった。

「今、学校ですけど」

「すぐ行くから待っていなさい」

 携帯がサナさんの声色でそう告げると、回線が切れた。一体何の用事なのだろうか。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る