エピローグ

 その日、世界に衝撃が走った。

 急にアメリカ大統領並びに中国総書記、日本の総理大臣へと動画配信サイトで配信する『猫』が接触。


 人類を救うため、自分たちが力を貸すというのだ。

 猫の持つ超能力で人間たちによるダンジョン探索の手助け並びに子供を孕むと言って猫が人化するのだ。

 それを全世界で配信されているのだ。


 衝撃が走るのも当然だろう。

 日本の益荒男たちが全員が歓喜の声を上げ、そして猫の人化度合いはどこが至高かでの対立が出来上がった。


 この配信を受け、最も話題に上がったのが僕だ。

 ダンジョン配信の途中でカメラの事故で配信が終了し、それ以降何の発信もない僕だ。

 個人で圧倒的な力を持つ僕と信じられない力をもつ猫であったタマ。

 この二人が何かをしたのではないかと世界で話題になるのは至極当然と言えるだろう。


 そんな中。

 一体僕は何をしていたのかと言うと……。


「ご主人様。ご飯が出来たぞ」

 

 ダンジョンの帰り道でタマが宣言していた通りにタマへと管理下にあった。

 どこかもわからない場所に監禁され、タマにお世話されていた……いつの間にか飼い主とペットの関係変わってない?


「ご主人様の性癖通り……今、吾輩の腋毛を伸ばし、お風呂に入らず同じ下着にスパッツを履いているからな……楽しみにしていて欲しい。ご主人様の匂いフェチと腋毛フェチを満たせる日も近いぞ!」


「あっ……うん」

 

 美味しいごはん。

 完備されたサブスク。

 何不自由ない生活。

 

 自分のどんな性癖も受け入れ、自分の童貞を奪い、自分が処女を奪ったとてもとてもかわいい彼女のような存在であるタマ。

 もうクソオタクの童貞にとって理想とも言えるのがタマだ。


「……なーぁ」

 

 最初は監禁されることに反発も覚えたが……今ではもうそんな反発もない。

 あまりにも心地良すぎて。


「……むにゅー」

 

 なんかもうずっとこの生活で良い気がしてきた。


「もう!ご主人様は甘えん坊さんなんだから……」

 

 僕はタマの温かくちょっぴり体臭のキツイの太ももへと自分の顔を押し付け、寝っ転がる。

 ……よく考えれば冒険者になった理由も配信する理由もモテるためだった。

 タマという完璧な彼女が出来た今、配信する理由もなければ冒険者である必要もない。

 一生この生活で良いじゃないか。

 まさか自分の求めるものとずっと一緒にダンジョンで探索し、配信していたとは……これが灯台下暗しか。


「……んぅ」

 

 このままではいけない。

 僕の心のどこかでそんなことを思いながらも……僕はタマへと徐々に依存していくのだった。

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ダンジョン配信猫ちゃん無双の億万長者~モテたくてダンジョン配信を始めた陰キャ高校生たる僕の飼っているペットの猫が強すぎて自分のかっこいいところを見せられない!~ リヒト @ninnjyasuraimu

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