第45話 

「なるほど……ダンジョンで生存本能を燻り、人類の三大欲求を高める、か……」


 色々と疑問の多い作戦ではあるが……僕の知らない特別な法則の元で立案されたちゃんとした作戦なんだろう。

 現に今、アメリカや中国、日本なんかでは少子高齢化問題なんてなかったかのようなベビーブームが来ているし。

 目論見はちゃんと成功している……欧州のことはガン放置なのだろうか。

 あそこは地震で致命的なダメージを負い、世界からそこそこ程度の支援しか受けられなくて未だに世紀末状態なんだけど。


「それで?僕への相談って何……?」


「いや、このダンジョン政策をどうするかって話よ。あてらの目論見通りに人間たちは向上心を持ち、生存本能を高めて子孫繁栄に勤めてくれているけど……人類のダンジョンへの適応力が少々高すぎてなぁ……もうすでにダンジョンを安全に探索するノウハウを確立しつつあるし、ダンジョンを利用しての文明の進化、革命も始まりつつある……ここら辺は良いんだけど肝となる少子高齢化対策の方の効果が危ぶまれるような状況になってしまっているのよ」


「なるほど……」

 

 僕はそんなこと僕に聞かれても困ると思いながらも神妙な顔つきで頷く。

 別に科学者でもないただの一高校生に少子高齢化問題を解決するために何かしてくれと言われても困惑することしかできない。


「それなら吾輩に良い案があるのだ」


「レレスト……いや、タマにそんな案が?」


「うむ。何もそこまで難しく考える必要などなかったのだ。簡単な話……吾輩たちが孕めばいいのである」


「……え?」

 

「吾輩たちの子宮は特別であるし、遺伝子も特別。自由に変換出来るはずだ。ゆえに人類に寄せることもたやすいであろう?孕ませることも孕むことも理論上は可能」


「いや……確かにそうだが……行けるのか?」


「吾輩はご主人様の子供を既に孕む気満々で既に姿かたちを人種へと近づける準備まで完了しておるぞ?」


「「「ん?」」」

 

 タマの言葉に僕だけでなくこの場にいる全ネコが首を傾げた。

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