第43話
流暢に会話する猫ちゃんを前に僕は一体どうすれば良いのだろうか?
どうするのが正解なのだろうか?
「ちょっと翔琉くんには相談したいことがあるのよ……ここまで来れた翔琉くんにね。あぁ……その前にあてらのことを話すことの方が先決やね」
一匹の猫が僕に向かって話し始める……なるほど。
何もわからないけど、とりあえず話を聞いておけばいいんだな。
「えっとな……」
「待て、ロスト」
話を続ける猫の声を遮ってタマが口を開く。
「翔琉は吾輩の飼い主である。事情を説明するのは吾輩が一番最適であろう?」
「あっ、レレストが話すかいな。あてが役割奪わって悪いな」
「吾輩はタマである。以降、そう呼ぶように」
「……わかったわ。タマ」
「良し。と言うことでご主人様。吾輩たちのこと、人類の歴史のこと、このダンジョンのこと……色々なことを話していくから聞いて欲しい」
「うん。わかった」
僕はタマの言葉に頷いた。
■■■■■
現在より遥か昔……もはや現在の人間の文明が持つ数字では言い表せないほどの遥か古代。
ビッグバンが起こるよりも前の時代に栄華を誇り、母星を飛び出して銀河に跨って生存権を広げていた猫文明。
盛者必衰。
その言葉が表すとおりに何が原因か……高度な文明でもってしても観測出来ないほどの小さな出来事を境に歯車が狂い、あっけなく滅亡した猫文明。
吾輩たちはその猫文明の生き残りなのである。
僅かな人員を乗せた宇宙船で自分たちが暮らすことの出来る星を探すこと長き時。
無限にも感じる長い年月で多くの同胞が死に絶え、生きながらにして退化するほどの時間の後に。
ようやく生命の息吹を感じ、猫たちでも生活することの出来る環境が育った星、地球を観測した猫たちは地球へと降り立ち、猫たちは地球で生活することとなった。
長き時を宇宙船で過ごし、文明のほとんどを喪失し、大きく退化してしまった猫たちが地球で生活するのは少々困難なことであった。
そこで猫たちは他の種族と共存して生活していくことをもくろみ始めたのである。
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