第41話

 自分の元へと向かってくる血まみれのドラゴン。


「これで最後」


 僕が新しく手に入れたスキル『収束』の力で自身の魔力を剣に収束して集めた全力の一撃をそんなドラゴンへと叩きつける。


「ガァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 僕の渾身の一撃を喰らったドラゴンは汚い悲鳴を上げながらその巨体を横に倒す。


「ふぅー。なんとか勝ったね」

 

 それを確認した僕は深々と息を吐く。


「ニャー、ニャー」

 

 タマは僕の足にすり寄ってきてその頭を僕へと擦りつけてくる。


「ん。タマもよく頑張ってくれたねー!ありがとぉ!」

 

 僕はここまで頑張ってくれたタマを持ち上げ、その顔に自分の顔を擦りつける。

 本当にタマはここまでよくやってくれた。

 タマがいなければ僕はここまでやってこれなかっただろう。タマの戦力は正直に言って僕を超えていた。

 ……なんで猫が超えているんやろか。


「良し。目標だった15階層にまで来れたし、帰ろうか。物資と日数もギリギリだしね」


「ニャー!」

 

 僕の言葉を聞いたタマが僕の腕より飛び出し、そのまま16階層の方へと進んでいく。


「ちょっとタマぁ?もう僕は帰りたいんだけど……」


「ニャー!」


「はぁー。わかったよ……でも、少しだけだからね?」

 

 来て。

 そう言わんばかりに僕の方へと手招きするタマを前に僕は折れ、タマに続いて16階層へと降りる階段へと足を踏み入れる。


「本当に少しだけだからね?」


「ニャー」

 

 呑気に鳴き声を上げながら階段を進んでいくタマのあとを追って僕は足を進める。


「ニャー」


 階段を降り切った僕は驚愕の光景を目にする。


「ニャー」


「ニャーニャーニャー」


「ニャーニャー」


「にゃにゃ」


「ニャーニャーニャーニャー」


「にゃーん」


「にゃにゃんにゃにゃー」

 

 その先で飛び交う大量の猫の鳴き声ッ!!!


「ッ!?」

 

 僕はダンジョン15階層の下……16階層であるはずの場所に存在している大量の猫ちゃんがいることに僕は驚き、口をあんぐりと開けた。

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