第40話

 ダンジョン15階層。

 ただただ広い空間にドラゴンが一匹君臨し、暴虐を見せる階層。


「にゃーッ!!!」 


 地上から飛び上がり、5mを超える体長を持つドラゴンの顔の前にまで行ったタマが口を開き、鳴き声を一つ。

 鳴き声を上げるタマの口からは閃光が迸り、ドラゴンの顔を焼く。


「ガァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

 ドラゴンが顔を焼かれ、悲鳴を上げている隙に僕はドラゴンの体を縦横無尽に駆け巡ってドラゴンの体に傷をつけていく。

 血しぶきが上がり、ダンジョンの床を真っ赤に染めていく。


「ほっと」

 

 ドラゴンがその巨大な体を動かし、僕に体を叩きつけようとするのを上空へと転移することで逃げる。


「んー。ここまでで僕はだいぶ強くなっているけど……火力がまるで足りないね」

 

 僕は魔力を大量に飛ばしてドラゴンの鱗を吹き飛ばし、肉を貫いて焼きながらぼやく。

 既にドラゴンとの戦闘を始めて一時間。

 僕のスキル構成に技量、タマの援護もあって僕がドラゴンの攻撃を一撃でも貰う気がしないが、僕の素の身体能力が低いせいで全然決めきれない。


「ほっ」

 

 僕に向かって振るわれるドラゴンの尻尾を転移で回避し、大量の魔力を叩きつける。


「にゃーん!」

 

 タマが小さな腕と足を使ってドラゴンと殴り合いをしている傍ら、僕はちくちくと攻撃を加えていく……改めて思うけどドラゴンと殴り合う猫って何?

 マジでタマって何者なんだよ。


「にゃー!」

 

 タマが一度、全力逃亡でドラゴンから距離を取る。


「にゃー!にゃー!にゃー!」

 

 そして、口から大量の閃光を出してドラゴンの体に傷を増やしていく。


「ほっ、せい、や」

 

 その間、僕はタマの代わりにドラゴンのヘイトを買い、ドラゴンと真正面からぶつかる。

 技量などないただただ純粋な暴力であるドラゴンの攻撃を受け流すのはそこまで苦ではない。


「まだまだかかるかなぁ……」

 

 僕は未だ終わりそうにないドラゴンとの戦いを前に再度気を入れなおし、ドラゴンと向き合った。

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