第39話
9階層よりかなり進んで12階層。
つい先ほどまでの僕の最高到達階層であった8階層からかなり進み、魔物の強さもあり得ないほどに上がっている12階層。
どう考えても苦戦すること間違えなしの階層ではあるが、なぜか。
これまでずっと魔物を見つけたらバーサーカーの如く突撃し、魔物を一撃で葬り去っていたタマの狂戦士ぶりがカメラとスマホがなくなると同時に鳴りを潜め、僕との連携を取ってくれるようになったタマ。
タマと連携を取ることがおかげで12階層の魔物に囲まれることがほとんどなく、エンドレスで魔物と戦うことを余儀なくされることもなく、かなり余裕をもってダンジョン探索に望むことが出来ていた……魔物がとんでもなく強いのにも関わらずだ。
やはり連携は最強……ソロにも限界があるということだろう。
「にゃーん」
呑気に鳴き声を上げるタマを抱えながら僕はダンジョン12階層を歩く。
12階層はたくさん魔物がいる階層ではなく、強い魔物が単体で少ない数徘徊しているタイプの階層。
所謂ボーナス階層である。
「想像以上に進めるね……どこまで行こうか?」
「にゃーん」
「……既に二泊目。ダンジョンに泊まれる日数は高校の休みを取った日的にも最大七日。うーん。帰りのことも考えなきゃいけないしなぁ……行けそうなら切りの良い15階層まで。攻略が難しそうな階層にぶち当たったら撤退することにしようか」
「にゃーん」
「ここまで来れるのなら美咲さんから階層の情報を貰ってくるんだったな……まぁ、もう遅いだけどね?ここまで来れると思っていなかった。新しく手に入ったスキルもすべて強力だし、割と15階層にまで行けそうな気がしているんだけど……どうなんだろうか?タマも未だに底が見えないし。僕とタマが世界で最も深き階層に降り立った冒険者か……良いな」
「にゃーん」
僕はにゃーんと声を上げるタマと勝手に会話している気になりながら、気分よく、油断なくいつでも戦えるよう気を張りながらダンジョンの中を歩いて行った。
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