第36話

 桜とのダンジョン攻略を終えてから更に数日。

 再びの土曜日がやってきた僕は今、ダンジョン5階層でカメラを回していた。


「はい!ということでこんにちは!配信者です!」

 

 僕はカメラの前で元気よく挨拶の言葉を口にする。

 

コメント

・こんにちはー

・配信きたー

・こんにちは

・今日はなんだ?

・こんにちは

・こんにちは

・もう土曜か。

 

 爆速で動いていくコメント欄に視線を向けながら僕は口を開く。


「今日の企画は簡単!うちのペットのタマと一緒にダンジョン何階層にまで行けるか!です!」


コメント

・おぉー!

・素直に凄い企画よな

・バカげてる

・死なないでね?

・安全に気を使ってほしい…。

・カメラが深層にまで降りるの地味に初じゃね?

・国ですら注目する案件やろ、これ。


「ふふふ……タマがいるうちにしか出来ない企画だよ。さすがはうちのタマである」


「にゃーん」


 僕はタマの首を撫でながら言葉を話す。


コメント

・猫ちゃん可愛い。

・やっぱ猫正義

・撫でられて嬉しそう

・猫ちゃーん。


「猫よりもまず僕をほめたたえろ」


コメント

・あまりにも醜い嫉妬。

・さすがに勝てない。

・どんなイケメンも猫には勝てない。

・ネコが最強。

・Cat is GOD


「まぁ、良いだろう……ということでこれからダンジョンに潜っていきますね。本当ならコメントにも逐一言葉を返していきたいんですけど、流石にそんなことしていると普通に自分の命を脅かしかねない敵が出てきかねないのでコメント返しは出来ないです。すみません」


コメント

・いや、当たり前。

・コメントなんて見ないでくれ。

・自分を大事にして?

・全然見なくて良いんだよ!

・というかお願いだから見ないで!

・本当に自分を大事にしてほしい。

・ここでコメントを気にする圧倒的メンタルよ。


「いやぁー、そう言ってくれて良かったよ。ということでダンジョン探索をやっていきましょう!ゆっくりしていってね!長時間配信になると思うから!」

 

 僕はタマをその胸に抱き、元気よく話した僕は意気揚々とダンジョンを下っていった。

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