第35話

 ダンジョン第二階層。

 第一階層から更に進んでこの階層に今、僕と桜はやってきていた。

 この階層でも出てくる魔物はゴブリンだったり、スライムだったり……出る魔物の種類は変わらないのだが、ちょこちょこ弓を持ったゴブリンなど、変わり種が増え、ダンジョン攻略の厄介度が上昇する。


「……ちょっと桜のスキルってばズルくない?」

 

 なのだが、そんなダンジョン第二階層を桜は楽々と攻略していた。

 その理由は桜が第二階層へと降りてきたときに獲得したスキル『五花の御守』によるものである。

 このスキルは五回まで相手のありとあらゆる攻撃をすべて無効化するスキルとなっている。

 

 どんな攻撃であっても無効化してしまうので、サクサクっと弱い攻撃ですべて削られ、何も出来ずにお終いになってしまうこともあるが、それでも不意打ちを確実に防げるこのスキルの効果はデカい。

 

 五人までではあるが、自分だけでなく、他人にもつけられるところも大きい。

 ……普通にチートスキルなんだよなぁ。


「今のところ当たりスキル引いている?私」


「うん。間違いなく」

 

 僕は桜の言葉に頷く。

 これで外れなんて言ったら世界中の冒険者たちからフルボッコにされるだろう。

 ……桜のスキルがあれば一体どれだけ僕が楽出来たことか……ッ!一人でダンジョンに潜り、魔物の奇襲に四苦八苦していた日々を思い出した僕は思わず拳を強く握る。


「今のところスキル構成的には後衛よりかな?弓とか強そうだよね……桜は弓の経験あったよね?」


「うん。うちは元々弓道の道場やっているし。弓なら少し自信があるよ」


「三つの目のスキルも良い感じだと良いね」


「そうだね!目指せ!トップ冒険者!」


「今のところスキル的には不可能じゃないんだよなぁ」

 

 桜のスキルならば目指せるくらいの良さだ。


「じゃあ、とりあえず今日はもうしばらくダンジョン探索したら切り上げようか。もういい時間だし」


「うん。わかった」

 

 それから少し。

 僕と桜はダンジョンを後にしたのだった。

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