第24話
現在最強の冒険者である心美さんとの模擬戦を終えた僕は深く息を吐き、体の全身から力を抜く。
「ふー」
訓練の一言で希望の剣のパーティーハウスの地下にある訓練場にやってきた僕は軽い準備運動の後、すぐに心美さんとの模擬戦を一回行ったのだ。
結果は見ての通り。
心美さんは一切息を切らすことなく平然と立っていて、僕は息も絶え絶え。
勝敗など火を見るよりも明らかだろう。
「うん。すごく良い。成長」
「ありがとうございます」
模擬戦で順当に負けた僕は心美さんからお褒めの言葉を頂いていた。
……僕はスキルあり、心美さんはスキルなしのハンデありでの試合だったのにも関わらず完敗してしまった。
やっぱり心美さんは信じられないほど強い。
世界最強の名は伊達ではないということだろう。
「私の攻撃を一度だけ受け流せるだけでもすごい。戦闘技術は完璧……私よりも上。ただ、身体能力が足りない。そして、人外の強さにあった体の動かし方が未熟」
「……身体能力かぁ」
僕は学校に行ってくることもあり、ダンジョン探索にそんな時間をさけるわけではない。
魔物を殺して自分の身体能力を上げるのも大変なのだ。
「頑張って」
「はい。ありがとうございました」
僕は心美さんの言葉に頷き、お礼の言葉を口にする。
世界最強であり、あまり人と関わることのない心美さんから頑張ってとの言葉をいただける人は限りなく少ないであろう。
「それでは僕はこの後少し用事があるのでそろそろここで失礼しますね」
「ん」
僕の言葉に心美さんが小さく頷く……よし。
それを確認した僕はここまで付き合ってくださった心美さんに頭を下げた後、訓練場を後にしたのだった。
……なんでわざわざ世界最強の冒険者である心美さんが僕を模擬戦に誘ったのだろうか?相変わらず何を考えているのかわからない人である。
まぁ、良いや。
さっさと帰って夕食作った後、エゴサしよ……美咲さんとのコラボ配信。一体どれくらいの反響があったのか。
今から確認するのが楽しみである。
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