第17話
一回目のダンジョン配信はタマの出現と言うイレギュラーによって途中でやめざるを得なかった。
そして、二回目のダンジョン配信は現、最強の冒険者パーティーである希望の剣のリーダー、本庄美咲さんの登場によって配信を切り上げる他なかった。
あの人の連絡を受けてもなお、それを後回しにして配信を続けていたら冒険者として生きていけなくなる可能性がある。
本庄美咲さんとはそれほどまでに凄い人なのである。影響力のデカさが半端じゃない。
「お久しぶりです。美咲さん」
「えぇ。久しぶりね」
僕はそんな美咲さんと今、顔を合わせて握手を交わしていた。
「以前ここに呼びつけられた時以来ですね」
「……その、呼びつけたって言い方やめてくれないかしら?」
「え?なんでしょうか……?ただの事実でしょう?」
「本当の心の底からそう思っていそうで心が痛いわ……まぁ、そんなことは良いのよ。重要なのは君が今、腕に抱いている猫ちゃんよ」
「そうですね……あっ。その前にちょっとカメラ設置して良いですか?腕パンパンで」
僕の腕には今、配信中のカメラにスマホ、ちょっとぽっちゃりしてて重い子猫のタマちゃんが鎮座している。
「良いわよ……というか、それで配信しているの?」
美咲さんは僕の手の中にあるカメラとスマホを指さして疑問の声を上げる。
「えぇ。そうですが……」
「もう少し良い機材使いなさいよ。スマホとカメラの接続のやり方ももっと色々あるでしょ」
「え?そうなんです?」
「……なんでこの子は特に調べもせず始めちゃうのかしら」
「いや、やりたくて……」
呆れたようにつぶやく美咲さんに対して僕は言い訳を口にする……言い訳になってないかも?
「まぁ、良いわ。せっかくだし、カメラとかあげるわ。配信の仕方とか、色々教えてあげる」
「え?本当ですか?」
「えぇ。これくらいは教えてあげないとあなたに悪いわ。せっかくここまで来てもらって」
「おぉ!ありがとうございます!」
僕は笑顔で告げられる美咲さんの言葉に感謝の言葉を口にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます