第16話
「えぇい!?ひどい!あまりにも酷すぎる!僕の配信なのに!僕がカッコいいところを見せるための配信なのに!そのすべてをタマに奪われている!今の僕はダンジョンの7階層でスマホのコメントを見ているだけぇ!!!」
ダンジョン7階層。
そこに到達出来る冒険者がいればもう一握り。
世間の人々から尊敬を集める上級冒険者と言えるだろう。
そんな階層で僕はスマホを手に持ち、ロクに警戒もしないでただただダンジョンの中を歩いている。
コメント
・なんかもう草
・どうなっているの?
・え?あの猫何……?
・俺らのパーティーを壊滅させた魔物を猫が殺している
・配信主の反応面白すぎだろwww
・切実な悲鳴wここは本当にダンジョンなのだろうか?
・コメ欄冒険者と一般人の反応が真反対そうで笑う。配信主笑える。
猫であるタマが七階層を無双して進んでいるというあまりにも謎過ぎる光景にコメント欄も爆速で動いてくれている。
圧倒的な話題性の強さゆえか、コメントの量も同接の数も凄いことになっている。
外国のコメントさえもある。
だが、そんな現状を僕は全く喜べなかった。
コメント
・タマちゃん可愛い!
・ぼてっとした体で機敏に動くの本当に可愛い
・最強の自宅警備員じゃん。
・ニート俺氏、クビのお知らせ
・あー!タマちゃんがカメラの方向いてくれた!
・かわいいー!!!
コメント欄も僕を褒めるコメではなく、タマを賞賛する声でいっぱいだ。
別に僕は金が欲しいわけじゃないんだ!僕個人の名声が欲しいんだよ!登録者が増えても僕の人気が上がらなきゃ何の意味もない。虚無だ。虚無。
僕が歯がゆい気持ちを抱えながら
コメント
・おもろすぎるw
・待ちなさい?これは何かしら?
・ん?
・ん?
・えッ……は?
・待って?今、希望の剣のリーダーいなかった?
・あとで少々お話があるわ。後で連絡するからそれを見なさい。
「あっ。美咲さん。こんにちは。ご無沙汰しています」
コメント欄に突然現れた美咲さんへと僕は頭を下げるのだった。
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