第5話

 ダンジョンへと入る入り口の前でおっさんに絡まれた後、僕はいつも通りソロでダンジョンに潜って4、5階層にまでやってきていた。


 1、2、3階層当たりなら冒険者も結構多く、カメラを片手に持ってダンジョン探索している僕になんだあいつ……という視線を送ってきていた輩が結構いたのだが、4、5階層にまで来ちゃえば冒険者の数も激減。

 僕に向けられる視線もほとんどなくなる。

 

 ちなみにあのおっさんは僕と違ってソロではなく、パーティーメンバーがいるので仲間と一緒に6、7階層当たりで今日もダンジョン探索をしていることだろう。

 ……あの人のパーティーにめちゃん可愛い人いるんだよな。おっさんの癖に生意気である。

 僕は未だにぼっちでダンジョンに潜っているというのに……ッ!泣いて良いですか?


「よし、っと」

 

 スキル『気配察知』を使ってあたりに魔物がいないことを確認した僕は手に持ったカメラの電源をつける。


「えっとぉ……」

 

 僕はカメラを操作し、スマホを操作し、慣れない作業に四苦八苦しながらなんとか配信開始まで持ち込む……線邪魔やな。

 カメラとスマホを繋ぐコードに若干のイラつきを覚えながらも準備は完了する。


「よし!」

 

 さぁ!配信の時間だよ!

 事前にSNSでも告知した!掲示板で晒され、無謀乙wwwと言うありがたいお言葉ももらった!

 掲示板以外でも晒され、無謀乙wwwとすべての場所でありがたいお言葉をもらった!

 いい意味での認知度は獲得出来ていないけど、悪い意味での認知度は得た!

 悪い評判なんて実力で叩きのめし、圧倒的な人気を獲得すれば何の問題もない!


「さぁ、行こうか!」

 

 僕は配信開始のボタンを押す。


「ハロー、こんばんは!そして、初めまして!現役高校生探索者のクシーフォスです!」

 

 出来るだけ明るくなるよう努めながら仮面を被った僕は声を張り上げる。


「今日は僕の配信に来てくれてありがと!」

 

 片手にスマホ、片手にカメラというダンジョンを舐め腐っているとしか思えないような状態の僕による配信が今!始まった!

 

  

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