第4話
4、5階層でカメラを片手に戦えるということを確認出来た僕は早速次の日……土曜日である今日!
僕はカメラを片手にダンジョンの方へとやってきていた。
周りにいる同業者である冒険者たちがカメラを片手に持っている僕へとチラチラと視線を送ってくる。
「おい、坊主。そのカメラは何だ?」
冒険者の一人……身長2m超えで全身筋肉ムキムキ。
体を動かすために生まれてきましたと言わんばかりの恵まれた体格にお顔のおヒゲがチャームポイントのおっさんが僕の方へと話しかけてくる。
「ふっ……僕は配信者になろうかと思ってね!」
僕は結構交流があり、顔なじみとも言えるおっさんに対してドヤ顔で返す。
「……正気か?」
そんな僕に対するおっさんの感想は実にひどいものであった。
「いくらお前でもカメラ片手にだときついだろ」
「4、5階層くらいなら別に問題よ。昨日確かめたし間違えないよ」
「おぉぅ……既に確かめているのかよ。4、5階層が限界だって冒険者も多い中お前さんはカメラを片手に舐めプして挑むのか」
「別におっさんも出来るでしょ」
おっさんも僕と同じくらいの階層に潜れる凄腕の冒険者だ。
僕だって行けるのだし、おっさんも行ける。
「いや、俺の装備は両手剣だぞ。片手なんて無理に決まっているだろ。使い慣れない武器でダンジョンに行くなどただの自殺だぞ」
「おっさんなら素手でもいけるよ!」
「アホか!素手で魔物に殴りかかる阿呆が居てたまるか!」
「僕はちょいちょい殴りかかるよ?」
「本物の阿呆じゃねぇか」
僕の言葉を聞いたおっさんが少し呆れた様子で言葉を話す。
……剣が折れちゃったらもう素手しか残ってないし、素手で行くしかなくない?
案外いけるものだよ?素手。僕は素手で結構戦ったし……流石に8階層にいる魔物を相手にするのはちょっと無理ゲーだったんだけど。
「ふふふ。おっさん。止めても無駄だよ?僕は配信者になってモテモテになるんだから!」
「……ならまずは自分のクラスの連中に自分が冒険者だと明かすところからじゃないか?モテるために冒険者になる!って話しているのにまだ誰にも明かしていないんだろう?」
「い、いや……急に冒険者だ!ってなんて話したらなんか空気読めないやつみたいじゃん?」
「……何を言っているんだ?」
僕の言葉に対しておっさんは呆れたような視線と言葉を向けてくる。
……学生の頃など遥か昔。髪の毛の量を気にする年代になってきたおっさんにはわからない繊細な問題があるんだよ!
学校はダンジョンよりも遥かに恐ろしい魔境なんだ!
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