第4話 「敵軍襲撃」
場が一旦落ち着きを取り戻し、これからの話をしようとした瞬間。突如、玉座の間の出入り口ドアが勢いよく開いた。
慌てただしく入ってきた使いの男性が報告してきたのは、「敵国が帝国に向って進軍してきている」という内容だった。
「なに⁉ 敵の人数と進行速度はどのくらいだ!?_」
「敵の数は2万!! この進行速度だと、1日も経たずに帝国内に攻め込まれます!!」
「2万…… 帝国の主力が遠征に出ているタイミングを狙われたか……!!」
貴族の中でも、ひと際位の高そうな見た目をした男性が、使いの男性に詳細な情報を求める。その会話から察するに、今回の進軍はかなり意表を突かれた一手だと理解出来る。
「モストン王国とは……?」
「モストン王国は、アリゴス帝国の西方に位置する隣国です。割と最近に建国されて、小規模な国ですが、軍事力に非常に力を入れています。今回の進軍が2万となると、おそらく本気で帝国を倒しに来ているかと……」
俺の問いに、ステラは神妙な面持ちで答える。
(2万…… この時代の人口がどの位か分からないが、小国で2万なら、確かに相当な数だと考えられる。)
「『主力がいない』っていうのは……?」
「この国の『皇子』であり、私の兄である『アリゴス・アレク』が、現在外交に出向いており、今この国の主力メンバーがいない状態なのです……」
……
(それって結構ヤバくない……?)
俺は貴族達を見る。その殆どが、こちらに助けを求めているように見えた。
「そういうのって、ある程度の余力を残していくものじゃないの?」
「今の帝国は切迫している状態で…… それに今回の外交は帝国のとって非常に重要な件でして……」
……
(これ、やっぱりマズい流れだぞ……?)
俺は改めて貴族達を見た。明らかに俺に助けを求めていた。
(いやいやいや!! 俺に2万の相手なんて無理だよ!! 目覚めたばかりなんだよ!?_ 復活したての病み上がりなんだよ!?_ 絶対そんなの無理でしょ!?_)
俺は全力で逃げ出したい気持ちになる。
「イオン様!! どうか帝国の危機を救ってくれませんか……!?」
ステラの言葉と共に、貴族全員が一斉に跪いて頭を下げる。「帝国に力を貸す」と言ってしまった以上、既にイオンの逃げ場など何処にもなかったのだった……
弱小英雄だった俺が、なぜか1000年後の世界で崇拝されている件? とうま @aoyagi5515
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