ー記憶が宝石となり、抜け落ちる「結晶解離病」。両親ともに結晶解離病になった少年と結晶解離病になった少女の美しい絆の物語ー人間は、誰しも良い面、悪い面を持っている。だが、それは変えることが出来る。人と人との繋がり、絆がどれほどに尊く、得難いものなのか、この物語から教わりました。主人公の心境の変化、それが周囲に与える影響、いつしか食い入るように読むようになっていきました。その中で何度か涙も流しました。これは美しく、切ない、奇跡の物語。
この小説は「結晶解離病」と言う荒唐無稽な設定に目が行くが、肝心な事は主人公の少年が病気の少女を通じて、他人と触れ合う内に自分が成長する姿が丁寧に書き綴られている所である。そして、主人公と少女の心の繋がりが深くなればなるほど、美しい「記憶」が「宝石」の様に輝いていくのだ。これを比喩でなく実際の物として書いた作者様の力量に感服します。主人公と少女、主人公と仲間達の美しい「記憶」の「宝石」の積み重ねを楽しんで欲しい。
両親ふたりともが、結晶解離病という奇病に蝕まれた主人公。同じ病に罹患した少女とともに、周囲の人たちに支えられ、不器用ながらも前に進んでいく物語。美しい文章と、丁寧な心理描写が心に沁みます。現在連載中で、この先も楽しみな作品です。
プロローグの美しさに惹かれて読み初めました。丁寧で計算された文章の連なりが、海辺の小石の集まりに似た、物語の地盤をしっかりと形作っています。時折とびきり輝く宝石のような言葉が胸に響いて、ときめきが止まりません。私が余り語ると、この物語の美しさの邪魔になりそうですので、多くは語りません。とにかく今、心に煌めく瞬間を宿したい方に読んで頂きたい、そんな作品です。