第20話

「それは……」


「それは……?」


 ゴクリと、未来は方唾を飲み込みながら利子の言葉の先を待つ。


「──お風呂だ!」


「…………はい?」


 利子の言葉に未来は呆けたように首を傾げていた。尚も利子の熱弁は続き──。


「お互いの信頼関係を築き上げるのに最も重要なのは……裸の付き合いだよ! まずは互いの無防備な姿を見せ合うことでさらなる信頼関係を築くことができるのである! 諸説ありますが如何でしょうか!」


「あ、う、うん」


 利子の怒涛の熱弁に気圧された未来はあっさりと一緒にお風呂に行くことにするのだが。


 利子が使用する客室のバスルームに辿り着くと、利子が早速バスローブを脱ぎ始めるのだが、如何せん普通にしていればモデルさながらの美少女の裸を見るとなると、いくら同性だったとしても少々視線がそわそわしている未来はその利子の姿に度肝を抜かれた。


「どうしたの未来? そんなにジロジロ見て、私何か変?」


「いや、あんたさ……その下着はなに?」


「え? 下着? これ何か変?」


 そう言う利子が身に着けていた下着は……晒に褌であったのだ。


「変っていうか、女子高生が何でそんなもの身に着けてんだよ‼」


 未来は頭痛でもするのか、こめかみに指を添えていた。


「だって、動きやすいし、楽だからさ……」


「だってじゃない! ちょっと来なさい!」


 もう我慢の限界という勢いで未来は利子にもう一度服を着せて客室から足を運ばせる。


「ちょっと未来! どこに連れて行くの⁉」


「いいから黙って付いてくる! 全く、あんたはゲーム以外興味ないの?」


「えへへー、それほどでも」


「褒めてない!」


 利子の問いかけに答えることなく、未来は利子を引きずりながらとある場所に辿り着いた。


「ここは……」


 利子が連れられた場所には本来船内にあるはずの無いショッピングモールの様な場所があり、その中の一角であるラグジュアリーショップの前に立っていた。


 何故ここにこのような場所があるのかわからない利子であったが、丁度居合わせた女性が利子の疑問を晴らしてくれた。


「あっれー? 白戸利子ちゃんだよね!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『DEAD OR ALIVE』 橋真 和高 @kazumadaiku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ