たまには俯(うつむ)いてみては? ―スミレ―

 人でにぎわう街中を歩いているが、人の多さに疲れてきてしまった。幾分いくぶんかは人の流れが少ない場所で、流れの邪魔にならないように足を止めて休憩する。


 目を落すと、りんとしているがな佇まいのスミレが石畳いしだたみの隙間から咲いている。


「綺麗だ……」


 前だけを見据みすえて歩き続けていくのもいいが、たまには立ち止まってうつむいてみてもよさそうだ。


 そこには案外、足元に咲く黄色いスミレのようにが転がっているのかもしれない。

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