かつての風景 ―ワスレナグサ―

 廃墟の庭だった場所には青い絨毯じゅうたんさみしげに敷かれている。近寄ってみると、こけむして角が取れ丸くなったレンガが点在する場所の中にワスレナグサが青く小さな花を満開に咲かせている。


――いつまでも」


 絨毯にはそんな文字が刺繍ししゅうされているように思える。


 かつてのあるじが意図したのかどうかは知る由もないが、その存在は名もなき旅人が感じ取れるものだ。


 かつて目の前には、素敵な庭を持つ一軒家が建っていたのだろう。

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