甘い過去へのいざない ―イベリス―

 砂糖を思わせる甘い香りとお菓子のような白く小さい花を持つイベリス。それが思い出の場所に植えられている。


 こんもりと茂る株全体に花が咲く様子は――あの子が着ていた白いワンピースを、まだ恋を知らなかった頃の記憶を蘇らせる。


 


 それは、人を過去にしばり付けるほんのりとっぱくも


 ――おっと、いけないいけない。砂糖菓子のように白く、甘い香りを放つ花が見せる春の夢にられてしまうところだった。

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