第20話 美崎ちゃんは爽やかな笑顔でそう言った


「まだ終わりじゃない、これからが始まり」


「え、美崎ちゃん、どゆこと?」


 眼下にある巨大な赤い薔薇。異星人白ネズミさん達の宇宙船。


 薔薇が開き赤く輝くように色付き始めた。


「さぁ! 最後の種族の勝者も決まりぃぃぃ! 盛り上がってまいりましたぁ! 最後の加盟挑戦惑星、地球。『人類』代表が決定いたしましたぁぁぁ! 軍事同盟である我らが超威種族軍事連合ちょういしゅぞく軍事れんごうに数千年ぶりに加盟する価値を証明するのはどの種族か!」


 巨大なスクリーンが地球の上、三面に表示された。


 あれならばどこからでも見えそうだね。


 鋭い針型の機体がスクリーンに映し出された。


 物凄い速度で飛んで体当たりで敵らしき機体を次々撃破している。


 操縦席に乗っているのは、猫なんだけど、人間っぽい服来て、体型も女の子つぽい。物凄く厳しい顔してるのが判る。なんでだろ。


 次は球状の根っこの塊みたいな機体が出て来た。


 胞子みたいなのを飛ばし、動けなくなった所を根っこみたいなので包んで押し潰し撃破していた。


 操縦者は小柄。細い柳腰が妙に女の子感ある。髪は茶色というか根みたいな感じ。髪で操縦席にある多数の操縦桿を掴んで操縦している。


 こんな感じで更に三つ、計五つの機体と異星人のパイロットが紹介された。


 何これ? わたしの頭の中は?????で一杯だよ。


「今回の加盟決定戦の種族勝者は、全て、女性に属する者ばかりぃぃぃ! 初めての事態にわたしもワクワクですよぉおぉお!」


 視聴者の歓声が凄い。


「そして最後に紹介する加盟権挑戦種族はぁぁぁぁ!」


スクリーンに美崎ちゃんの綺麗だけど、厳しい表情、そしてミニチュア美崎ちゃんがアリナちゃんを撃破した時の映像が映し出される。


人類の勝者! わたし一押しの美崎様です! 崇めよ、称えよ! わたしは彼女が我が連合に属すれば数万年続くわが軍事連合と宿敵の戦争に多大な貢献をすると確信しておりますぅぅぅ! 」


 大歓声だ! 美崎ちゃんの戦いは数万年もの間、戦争し続けている彼らの琴線に触れたらしい。


 横を見ると美崎ちゃん物凄く厳しい顔。ん? アリナちゃんは嬉しそうな顔だよ。


「敗者は不要! 我が軍事連合には強い種族しか必要ありません! つまりぃぃぃぃ!

数千年前の前回の映像をもう一度見たいかぁぁぁ!」


「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


 異星の視聴者のボルテージが最高潮! 猛烈な歓声がスーツの中を覆う。


「さぁぁぁ! 加盟権挑戦の種族の方々も一緒にぃぃぃ盛り上がりましょう! 見てみましょう! 敗者の末路を!」


 わたしは見た。


 赤い薔薇が、赤く輝き、緑の惑星を、砂漠の惑星を、水の惑星を、物凄いビームで次々と破壊していくさまを。


 惑星が死んでいく様を。種族が滅亡していく様を。


「美崎ちゃんは知ってたの?」


わたしは震えながらそう聞いた。


「ん。技術情報は深い所に開示されていた。あの薔薇型の艦は惑星攻撃要塞でしかありえない構造してた」


美崎ちゃんがコクピットの穴から、怪しく輝く薔薇型の宇宙艦を見る。


「他の三人も調べた。私が一番優秀」


「勝てるの? 美崎ちゃん」


「地球に居る綾を守るには勝たなくちゃならない。絶対勝つ」


美崎ちゃんは爽やかな笑顔でそう言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る