第12話 日本代表! 美崎ちゃん登場! ヒューヒュー!
みんなで特番を見てる中、玄関のチャイムが乱打された。
「やだもー、日曜日に誰? 盛り上がってるのにー」
出ると、銀眼鏡……と顎に大きな絆創膏張った黒スーツ達だった。
銀眼鏡は憔悴してる。美崎ちゃんを見つけられなくて焦ってる感凄い。
「美崎を出せ、いるんだろ」
勝手に上がろうとする銀眼鏡と黒スーツ。
お父さんが出て来た。お母さんと弟は怯えたようにリビングの扉に隠れて覗いている。
お父さんは気弱な理系ヒョロガリなのにガチムチ黒スーツを見上げ言い放つ!
「捜査令状はあるんですか?」
格好良いよ! お父さん!
「うるさい! どけっ!」
お父さんは押し飛ばされ、壁に頭をうつ。
「お父さん! 大丈夫!」
わたしはお父さんに駆け寄って抱きしめる。
「何するの! 警察呼んじゃうよ!」
「呼んで見ろ! 何も出来んさ!」
銀眼鏡は土足で家に上がって黒スーツに指示して、美崎ちゃんが居るか探し始めた。いる訳ないのにね。
クッションの下なんかに居る訳ないじゃん。あ、ソファにテーブルもひっくり返した。
部屋ぐちゃぐちゃだよ、カオスだよ。
「スマホを出せ、不審なやりとりがあったのは把握してるんだ! 奴の場所は知っているのだろ!」
銀眼鏡がわたしの胸倉を掴むと、お母さんが棚の上に置いて充電してたわたしのスマホを差し出した。
「よこせ!」
銀眼鏡が、スマホを取ろうとした時、通知音が鳴った。
わたしは銀眼鏡を摺り抜けスマホを取った。
美崎ちゃんから着信だ。メールではなく、掲示板アプリ。外部アプリは危ないから使わないとか言ってたのにどうしたんだろ。
横目でスマホを見た銀眼鏡。
「通信記録を調べろ、これなら奴の居場所が判る!」
即応する黒スーツ達。
『TVを見て』
そう書き込まれてた。
そういえばTVは付けっ放しだったね。お父さん自慢の六十インチ。
大きな画面には『緊急速報!』の文字が躍っている。
ドローンの映像だろうか、旋回しながらのスカイツリーの屋上の映像だ。
正午の強い日差しの中、体にぴったりした黒いスーツを着た綺麗な女の子がすらりと立っていた。
「あ、美崎ちゃんだ!」
体にぴったりした黒い全身ボディスーツとブーツを着用した美崎ちゃんがスカイツリーの頂上に居た。
少し見える太ももに、綺麗なラインも入り無茶格好良い!
ズーム映像も入って整った美崎ちゃんの横顔がアップに!
TVのスタジオも余りの綺麗さに皆驚いてる。
長髪はスカイツリー屋上の強風にはためいてとても綺麗。
……
足元に美崎ちゃんに踏まれた白ネズミさんが……
と思ったらすぐに消えた。気のせいだったかな。
銀眼鏡と黒スーツ達は、あんぐりと口を開けてTVの画面を見てる。
「馬鹿な、仮に見つけても映像は出さないよう放送局には圧力を掛けたはず……」
両手を床に付けTVを唖然をした顔をして見てる。
TVを見ると、美崎ちゃんがスマホ見てる。
わたしも慌ててスマホを見る。
『見てる? 綾?』
『見てる見てる! 何でスカイツリーの上に居るの?』
超音速で返事を打ち込むわたし。
『マスコミが無視できないようにした』
『そっかー、スカイツリーの上なら誰かが見つけてスマホで撮影してアップロードするもんね。隠蔽なんか無理だね』
『ん』
『だけど、変態ネズミがカメラクルーとともに、待ち構えてた。負けた気分、悔しい』
隠れてたのに簡単に変態白ネズミさんに見つかったのかぁ……そりゃ負けた気になるよね。ちょと同情したよ。
『でも映像凄いね! そこは感謝だね!』
『設計カスタマイズ組は地球だけでなく、彼らの母星でも放送されてる』
え、そうなんだ、凄い!
……と、掲示板アプリに、美崎ちゃんの師匠というか、お爺さんが書きこんで来た。
あ、掲示板アプリを使ったのはコレも理由かな。
『美崎よ、覚悟は出来たのだな』
『はい』
『わしの教えを実行するのはわしではなく美崎だったとはな』
お爺ちゃんの教えかぁ。古武術の師匠の教えって何だろう、後で美崎ちゃんに教えて貰おう。
と、太陽を背に空から何か飛んで来た。
TVに映っているスタジオ騒然となる。
美崎ちゃんが両手を掲げたその前に、その機体は来た!
正午の強い光の中、スカイツリーの屋上に立つ美崎ちゃん。
その前に黒い人型の大きな機体が降り立った。
色々なアングルからの映像が一気に流れ、超格好よい!
やるねぇ。変態白ネズミさん。
美崎ちゃんと同じ体型のロボット機体。
VRの時より模様が付いたり、ちょと鎧みたいなのが付いたりして格好良くなってる!
実機だからか、全裸感も減って、恥ずかしくなくなってるのも得点高いよ!
そして両手には槍みたいな剣。実機は格納式ではなく、最初から手に持ってる形にしたみたい。
『全長十メートル』
『うおお、やっぱり実物見るとおおきいね!』
『武器は、コロニー用建材』
『え、建材?』
『汎用品は兵装よりポイントがかなり少なくて済む。そして旧式兵装よりも頑丈』
『私のは汎用品の組み合わせ、おそらく変態ネズミが気に入ったのもそれが理由』
『じゃ、今から行くね、綾』
『うん、頑張って』
美崎ちゃんは、画面に向かって手を振ると膝を付いて屈んだ機体の手に乗り、胸の部分にある操縦席へ乗り込んで行った。
横で銀眼鏡が魂が抜けたような顔でその画面を見ていた。
ざまぁだよ!
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